No.73 16,634!
今週はいよいよ最終局、「ライカ犬」の「犬」の字、作者は清水孝晏氏です。
最終局にしてようやく限定合入りの作品の登場です。「犬」という難しい詰上りにもかかわらず、現代的感覚に溢れた好作に仕上がっています。成功の鍵は頭4手の付加にあり、これによって桂合が入っただけでなく、32龍、37歩、53香の3枚に存在理由が与えられました。一石三鳥か四鳥くらい価値のある逆算と言えるでしょう。
これで週刊朝日の新春曲詰特集全30局の紹介が終わりました。全体を振り返ってみて、創作の難しい短手数曲詰にもかかわらず、作品は粒揃いで、なかなかのレベルと感心させられました。特に一年間休載した後の昭和30年以降は、確実にワンランクアップしていると感じます。門脇芳雄氏がイロハ48局を発表したのが昭和31年のことで、当時はまだあぶり出しの黎明期でした。そうした時に将棋専門誌ではなく、週刊朝日という大部数の一般大衆誌に、あぶり出し曲詰が数年にわたって掲載された意義は大きく、その存在を世に知らしめた功績は計り知れません。
30局中印象に残った作品を挙げると、ブログ№51「フ」、№52「ク」、№62「ナ」、№73「犬」など、また飾り駒を不問とすれば、№47「デ」、№60「ク」、№66「キ」、№72「カ」なども好作で、これらは半世紀を経た現在でも全く遜色のないレベルと言えます。№42「ノ」の余詰は本当に残念でした。
その他に特筆すべきは解答者数の多さでしょう。毎年の解答者数をまとめると次の通りです。
昭和27年「ヘイワノハル」解答者(不明) 正解者 532名
昭和28年「オメデトウ」 (解答募集せず)
昭和29年 (休載)
昭和30年「七フクジン」解答者 6,543名 正解者 6,492名
昭和31年「ソンゴクウ」解答者 (不明) 正解者 (不明)
昭和32年「ナンキヨク」解答者 16,634名 正解者 15,305名
昭和33年「ライカ犬」 解答者 11,528名 正解者 11,217名
当初は駒一式が賞品でしたが、昭和30年以降賞金になり、以来一気に応募が増えたことが分かります。ちなみに、31年以降は「3名に1万円、10名に5千円、20名に1千円、300名に記念品」となっています。
それにしても、これだけの解答が集まるというのは大変なこと。詰パラの解答者数とは比較になりません。1人で何枚も送る人もいただろうし、解答が手順ではなく「あぶり出された言葉」を書いて送るという手軽な方法だったこともあったかも知れません。それでも1万を超える解答が集まったことは事実です。
もしも詰パラにこれだけの解答が来たら? う~ん、結果稿を書くのが大変だろうなぁ。
最後に、この週刊朝日の記事を国会図書館まで行ってコピーをとり、小生に貸し出していただいた利波さん、本当にありがとうございました。改めてお礼申し上げます。
■親サイト『詰将棋五十音図』の表紙を小川悦勇氏作「市松」に入れ替えました。カナ文字ではありませんが、細かいことは気にしない。この作品は本当に傑作です。冬眠蛙さんのブログ『冬眠日記』で昨年紹介されたものなので、ご覧になった方は多いと思いますが、未見の方は必見です。見ないと損ですよ!
冬眠蛙さんも書かれていましたが、小川氏の作品集、できるといいですね。
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コメント
週刊朝日連載曲詰の連載は意義深かったと思います。
今後も、忘れさられそうな詰将棋を蒐集しに国会図書館に行こうと思っています。
今、考えているのは、「ハーケンクロイツ」「カミ風」で有名な渡辺進の作品です、殆ど蒐集できたと思うのですが、「アサヒ」が未入手です。入手できたら、またお見せしますね。
投稿: 利波 | 2009年3月18日 (水) 22時39分
利波さん、毎度ありがとうございます!
夭折の天才、渡辺進氏ですか。
「カミ風」と「ハーケンクロイツ」は村山隆治氏著「詰将棋教室」で紹介されていますが、それ以外は全く未知の作家ですので、なかなか興味深いですね。
ぜひまたお願いします。
投稿: 安武利太 | 2009年3月20日 (金) 09時13分