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2019年10月

2019年10月20日 (日)

No.207 春霞賞候補作紹介 2019年6月号

■続いて6月号の候補作。5月に続き2作が候補に残りました。

■同人室3 金子清志氏作       
◇馬ソッポブルータス


25飛、36玉、26飛、同玉、48馬、35玉、26馬、同玉、
27馬、35玉、3924玉、33銀生、23玉、38馬29と、
24歩、34玉、56馬 まで19手詰

久保紀貴-39馬を消去せず38香~36馬としても打歩詰を解消できるところ、馬を捨ててまで39香~38馬と遠ざかるのが絶妙。近すぎると両王手したときに馬を取られるということなのだが、このように玉と馬の位置関係にフォーカスした作品はかなり希少である。 さらに本作ではそのための遠打、そのための馬消去という表現により、構想が重層化されている。
太刀岡甫-打歩を打開しつつ最終手を見据えた最遠打だが、全く無理なく39馬の邪魔駒消去が入っているのが凄い。駒の位置関係が絶妙である。
馬屋原剛-打歩詰を打開するだけなら、馬より香が後ろにいればよいだけだが、収束を成立させるには、39香、38馬型が絶対。36馬型だと近過ぎて詰まないのが面白いと思った。 39馬の原形消去や39香の限定打を無理なく実現している。絶品。


■同人室5 鈴川優希氏作     
◇飛車2枚捨てによる玉方銀成強要


65銀上、47玉、77飛、同銀成、56銀、同玉、76飛、同成銀、
65銀、47玉、56銀、同玉、74馬、45玉、44馬、同玉、
45香、同玉、35金、55玉、65馬 まで21手詰

太刀岡甫-やっていることは成らせだが、飛2枚を投じて釣り合う図があるのが驚きである。離し打ちでやっているのも良く、銀に当てるシンプルな意味付けで成立している。心理的妙手でもあり、印象に残りやすい作。
馬屋原剛-詰工房で見せてもらったときには全く解けず、答えを見たときには度肝を抜かれた作品。 銀を成らせるのに飛2枚が釣り合うとは驚いた。 34筋の守備駒が重いがまあ仕方ないだろう。 古典はあまり興味がないのだが、構想のヒントになることもあるのだなと感心。
久保紀貴-ぶつけて打つ飛限定打によって銀を成らせるというのは言われてみればシンプルでなるほどなのだが、なかなかその発想には至らない。非凡なアイデアと思う。 また、個人的には飛金(成銀)銀それぞれの駒の特性がピッタリはまっている点が気に入った。 配置はやや不満あり。

<参考図>
 将棋無双第51番 伊藤宗看作


75銀、同玉、64銀、86玉、26、同銀、75銀、同玉、
25、同馬、76金、74玉、65金、63玉、54金、52玉、
43金、51玉、52金、同玉、43馬、41玉、33桂、31玉、
21馬、42玉、43歩成、51玉、41桂成、同玉、32馬、51玉、
42と まで33手詰

■6月号は同人室の課題が構想作だったことも手伝って、やはりノミネート作が多かったのですが、5月号同様2作がダントツに強く、共に候補に残りました。
特に印象的だったのは、2ヶ月連続で候補入りした鈴川氏の復活振りです。これで今年の春霞賞の行方は、ますます混沌としてきました。

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No.206 春霞賞候補作紹介 2019年5月号 

■春霞賞候補に残った作品の紹介です。
まずは5月号出題作から。

■高等学校21 久保紀貴氏作 「モーメンと」
◇玉方と金の6地点1回転


45銀、同と、46桂、同と、36香、同と、26桂、同と、
25銀、同と、35香、同と、43馬 まで13手詰

太刀岡甫-4地点の回転ならよく見るが、6地点で連続して回したのがまず凄い。また、初手以外の捨駒を駒打ちで行うことにより局面の対比(銀消去)が明確になっている。回転方向の制御が非常にシンプルな仕組みで実現されており、手順完全限定で完璧な仕上がり。
馬屋原剛-ノンストップでと金が6回も動いて1周する。しかも駒取りなしときた。こういう作品は得てして短絡する紛れに苦労するのだが、それを感じさせないほどスマートに出来ている。 最優秀賞候補の一角。
久保紀貴-半期賞の言葉でも書いたが「と金が回転する前後で局面を対比すると攻方銀が消えている(だけ)」という点は特に気に入っている。 また他についても駒取りなし、手順完全限定、最短表現など、全体として自分の美学を貫けたので満足。

<参考図> 
詰パラ20136月号 宮原 航氏作 「独楽鼠」
◇玉方飛車の6地点1回転


35金、同飛、36桂、同飛、26香、同飛、16桂、同飛、
15角、同飛、25歩、同飛、33馬 まで13手詰


■大学14 鈴川優希氏作  「泣斬馬謖」
◇玉方馬先馬角


69銀、58桂成、同香、55馬、44龍、同玉、56桂、53玉、
65桂、同馬、64桂、56馬、同香、55角生35角、44桂、
55香、同桂、44角、43玉、65角、54飛、35桂、32玉、
54角、41玉、32角成、同玉、33角成、同玉、34飛、同玉、
24と、35玉、25と まで35手詰

馬屋原剛-複雑ですぐには構想が理解できなかったが、作者のブログを読んで、玉方馬先馬角が狙いとわかった。 私的には、構想よりも感じのよい序や大駒3枚捨ての収束といった、全体の完成度の方に感心した。
久保紀貴-玉方応用の馬先馬角というのはパッと作例を思いつけないため、単品でも表現として新しいものかもしれない。しかし本作はそれだけでなく、同じ手順の流れの中に取歩駒を逃げるための馬移動中合を加えており(ここは構想としては掛け算ではなく足し算になっているが)、より面白い表現が追及されていると思う。
太刀岡甫-馬先馬角というマニアックな構想。角と馬を対称に配し、移動捨合で馬を消し、合駒を出しつつ角2枚を捨て切る収束まで、徹底的に見せ方を追求している。


■詰棋校の期末月とあって、5月号は構想作も好作揃い。その中で久保氏作と鈴川氏の2作は、他のノミネート作を大きく引き離して候補に残りました。
なお久保氏「モーメンと」は、周知の通り見事半期賞を受賞されました。おめでとうございます。

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No. 205 第346回詰工房例会報告

928日(土)詰工房の例会に参加してきました。
参加者:青○裕一、石○仰、馬〇原剛、大○光一、沖○幸、加○徹、金○清志、久○紀貴、小○正浩、小○尚樹、小○純平、鈴○優希、芹○修、田○雄大、竹○健一、太○岡甫、利○偉、原○慎一、柳○明、山○剛、米○歩登、田中徹 以上22名(敬称略)
※漏れや誤字があったら申し訳ありません。
hiroさんのブログでは23人になってる。誰か書き漏らしたみたい…)

■社団戦とブッキングしなかったおかげか、参加者が20名を超え、賑やかな例会になりました。
更に初参加の中学生2人も加わって、会場は一気に若返った感があります。

3時過ぎ、春霞賞の選考会がスタート。
今回は5月号と6月号の2か月分でボリュームがありましたが、太〇岡さんの的確な解説で順調に進行していきます。またノミネート作の作者が多数参加されていて、作者の生の声を聞けたのは幸運でした。
投票の結果、候補に残った作品は以下の通り。

5月号
高校21 久保紀貴氏作 「モーメンと」
大学14 鈴川優希氏作 「泣斬馬謖」

6月号
同人室3 金子清志氏作
同人室5 鈴川優希氏作

両月とも、2作ずつの選出になりました。
最近複数作の選出が続いているのは、それだけ高品質の構想作の発表が続いている証しでもあります。今年の最終選考は大変な激戦になりそうです。
なお内容については、頁を改めてご紹介いたします。

■続いて注目作の紹介がスタート。ここでは、詰パラとスマホ詰パラから1作ずつご紹介します。

詰パラ 20196月号
デパート3 原田慎一氏作


5手目42銀成に12玉と逃げれば、45角成~13歩~63飛成で詰み。序の53角消去はこの63飛成を実現するためでした。
6手目41歩中合なら、同飛成には12玉、13歩、同玉で、成銀が邪魔になって43龍と引けません。そこで中合を取らずに32成銀とし、12玉に45角成~13歩で63飛成を狙えば詰む…。
ならば41の合駒が香だったら? 63飛成の時43歩合で不詰!
ここでようやく、6手目は41香合が最善と判明します。以下同飛成で香が手に入るので、11龍~13香の順で収束します。
5月号デパートの青木氏作にも通じる「後の合駒の足場とするための香中合」ですが、間に成銀が存在することで、香合の意味付けがうまくカモフラージュされています。
角消去の伏線との相乗効果もあって、非常に高度な謎解きが楽しめる逸品です。

スマホ詰パラ 20198
No.13426 i@hiro氏作


角捨て~馬寄り~角捨合を繰り返しながら、玉が盤中央を横断していく趣向作。
序の伏線や、途中同龍でなく同馬とする破調等もあり、単調な繰り返しに終わっていないのがセールスポイント。収束を一瞬で切り上げる潔さも見事です。

5時からは2次会。自分も参加しましたが、2時間を経過した辺りで睡魔に襲われ、離脱しました。

2次会でのKさんとIさん。
「あそこで○○飛とすると…」「それは同玉の変化で…」「やっぱりそうか…」「あれいい手ですよね…」
といった調子で会話が続いています。
目の前の将棋盤には某氏の新作が並べられていますが、それとはまったく別の作品の話。まるでテレパシーで会話をしているかのようです。
ちょっとしたヒントだけで即座に脳内盤に配置が浮かび、手順が再生される。頭の回転も引き出しも段違い。
格好いいなぁ。

■この日の模様を知りたい方は、例によってhirotsumeshogiさんのブログ、「詰将棋の欠片」をご覧ください。

■ではまた。

 

 

 

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