No.225 春霞賞候補作紹介 2020年2・5月号
2020年2月号と5月号の春霞賞候補作をご紹介します。
詰パラ2020年2月号
■短大8 太刀岡甫氏作
◇ダブルスイッチバック
57角、33玉、44と、同玉、54と、同玉、64飛、53玉、
75角、42玉、15角、43玉、53香成、同玉、14飛、63玉、
64飛、53玉、42角成、同玉、63飛成 まで21手詰
太刀岡甫-詰上りに加担する2枚の大駒を共にスイッチバックするのが狙い。力技の表現だが、一応捨駒で繋いでいる。
馬屋原剛-飛車のスイッチバックから作り始めて角のスイッチバックまで逆算したと思われるが、無理なく逆算されてるのが巧い。
久保紀貴-大きな動きでダブルスイッチバックを表現。目に訴える力がある。
會場健大-やりたい放題の派手な応酬。メインのスイッチバックふたつを強調する作りとは少し違うので、構想の色は薄いが、個人的に好きな作。
※大駒が縦横に飛び交う、ダイナミックな逸品。理屈抜きで楽しめます。
序は逆算と見当が付くので、構想作としては弱いものの、逆算によって新たな主張を加えるのも、立派な構想と言えます。
詰パラ2020年5月号
■中学校23 渡辺直史氏作
◇香の成らせ
57桂、同香成、56銀、同成香、55飛、同成香、54角、同成香、
56金 まで9手詰
馬屋原剛-不勉強ながら、3マス戻す香の成らせが今までなかったことを知らなかった。戻すマスが離れるほど創作難度は上がっていくが、無理なく無駄なく仕上がっている。
久保紀貴-短コンで7手の香成らせをやった翌年、9手でもやってみようと考えたが存外に難しく完成させられなかった記憶がある。本作は非常に少ない枚数でできており驚いた。
太刀岡甫-従来の成らせを1マス増やした作。難度が跳ね上がっているうえ、最短手順、完全限定で配置も少なく完璧である。
會場健大-対比が明快な春霞賞らしい作。配置は仰々しいがギリギリいっぱいという感じ。私も3マス戻しの前例がないというのは知らなかった。作者の目の付けどころはすばらしく、要注目。
※久保さんのコメントにある「短コンで7手の香成らせ」を表現したのが参考図①。この作品は歴史的な「衝突」事件を起こしているので、ご記憶の方も多いかもしれません。(衝突の相手が参考図②)
香を2マス戻すには盤面5枚で済むのに、3マスになると盤面12枚必要になる。それだけ難易度の高い狙いであり、むしろ良くこの駒数で収めたというべきでしょう。しかもオール捨駒、駒取り無しで最短手数と、妥協のない創作姿勢には感服の他ありません。
<参考図①>
■詰パラ2015年12月号 久保紀貴氏作
◇香の成らせ
28金、同香成、27金、同成香、26銀、同成香、28金 まで7手詰
<参考図②>
■詰パラ2015年12月号 深和敬斗氏作
◇香の成らせ
28金、同香成、27金、同成香、26銀、同成香、28金 まで7手詰
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