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2021年12月

2021年12月26日 (日)

No.254 春霞賞候補作紹介 2021年8月号

詰パラ20218月号の春霞賞候補作を紹介いたします。

■大学院3 若島 正氏作  「スロット・マシン」
◇グループ中合およびそのための中合

20218_

27香、23歩合、同金、11玉、12金、同玉、62龍、42歩合
同龍、32香打合、13歩、同玉、53龍、43歩合14歩、同玉、
64龍、54歩合15歩、同玉、75龍、65歩合16歩、同玉、
86龍、27玉、28金、同金、26龍、38玉、28龍、49玉、
A58馬、同と、48金、59玉、58金、69玉、(B68金、79玉、
64成桂、88玉、78飛成、99玉、66角、同歩、89龍、同玉、
39龍、79銀合、78銀、98玉、99香、88玉、79龍、同玉、
69金、88玉、89歩、99玉、88銀、98玉、87銀右、同成桂、
99歩、89玉、79金 まで67手詰

太刀岡甫-玉方が壁を作るのもすごいが、特に42歩合で歩合の回数を増やす点が素晴らしい。タテヨコの経路上に駒を置けない制約の中で、少ない駒数で完璧にまとめている。
馬屋原剛-中合によって壁を作る意欲的な構想。メインディッシュの前の42歩合がいいスパイス。 だが、剛腕で作られている感じがしてあまり若島氏らしくない印象はある。氏ならよりスマートな表現をできたのではと感じた。
會場健大-「夢の浮橋」を連想させる趣向手順を構想の一部として実現した作品。作者の昔の作品と近年の指向が融合したようでその点でも印象的。

※6手目62龍と、龍が動き出してからが本題。この後、玉頭への歩打ちと龍引きを繰り返しながら86金を狙いに行くのに対し、7手目42歩合で龍を呼んでから、53龍に43歩合、64龍に54歩合、75龍には65歩合と連続歩中合をするのが、名作「夢の浮橋」を彷彿とさせる新構想。
その意味は、玉が9段目に逃げ込んだ時、72飛を横に活用する順を阻止するため。すなわち、
①43歩がない場合は、(A)59金、同と左、42飛成以下
②54歩がない場合は、(B)59金、同玉、52飛成以下
③65歩がない場合は、(B)62飛成以下
で、いずれも早く詰むのです。
3つの合駒が揃って初めて受けになる「グループ中合」と、それを実現させるための42歩合という、前例のない構想の実現は、例会参加者からも高く評価されました。


<参考図>

■近代将棋1972年2月号 若島 正氏作 「夢の浮橋」
『盤上のファンタジア』第96

19722_

32銀上成、12玉、22成銀、同玉、32銀成、12玉、22成銀、同玉、
24龍、12玉、61銀生、82歩合、21龍、13玉、93龍、83歩
同龍、73歩合、14歩、同玉、84龍、74歩、同龍、64歩合、
15歩、同玉、75龍、65歩、同龍、55歩合、16歩、同玉、
66龍、56歩、同龍、46歩合、17歩、同玉、19香、18角合、
57龍、47歩成、同龍、37銀合、同龍、同角成、18香、同玉、
29銀、19玉、28角、29玉、37角、38玉、28龍、47玉、
48龍、56玉、74角、65香合、57歩、67玉、68龍、76玉、
65角、85玉、74角、同玉、65龍、84玉、73角成、同玉、
64龍、83玉、72銀生、同玉、63龍、81玉、82歩、91玉、
97香、同と、94香、92歩合、81歩成、同玉、83龍、71玉、
73龍、()81玉、82歩、91玉、71龍 まで93手詰

()72歩合で変長

 

 

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2021年12月16日 (木)

No. 253 第372回詰工房例会報告

1127日(土)詰工房の例会に参加してきました。
参加者:青○裕一、井○徹也、馬○原剛、沖○幸、加○徹、金○清志、小○正浩、新○江○弘、芹○修、竹○健一、太○岡甫、松○成俊、柳○明、田中徹 以上14
二次会から参加 宮○敦史(以上敬称略)
※漏れや誤字があったら申し訳ありません。

■来年2月の例会は蒲田の大田区産業プラザに決まったようです。
以前、解答選手権の会場にもなっているので、ご存知の方も多いことでしょう。京急なら、京急蒲田駅から徒歩3分で行けますので、JRよりお勧めです。

■竹○さんから、つみき書店の「夏休みの自由研究 2021」を頂戴しました。自分が注目している松下さんの研究や、懐かしい「超短編における中合対策の研究」(風みどりさん)などが載っていて、興味深く拝見しました。
竹○さん、ありがとうございました。

15時を過ぎて、春霞賞の選考の時間。解説は太○岡さん。
ノミネートの5作から候補に残ったのは…。

詰パラ 2021年8月号 
大学院3 若島正氏作

詳しくは別稿にて。

■続いて注目作のご紹介。今回も詰将棋メーカーから数局ピックアップしました。
では、注目作の中から、いくつかご紹介していきます。


詰パラ 2021年8月号
小学校6 太刀岡甫氏作

202186

34角、同桂544642桂成 まで5手詰

初形の、玉方42桂と攻方46桂。詰上がりでは、この2枚の桂馬の向きが入れ替わっています。本年2月号中8齋藤光寿氏作が、同様の狙いの9手詰で、本作はこれを最短手数で表現したもの。
こうした記録狙いの作品では、手順や形が二の次にされがちですが、そこは同人入り目前の実力者、4手目を移動中合にすることで、しっかりした本格作品に仕上げているのは流石です。


詰パラ 2021年8月号
中学校10 三輪勝昭氏作

2021810

48飛、56玉、57飛、65玉、66金、74玉、44飛、同金、
54飛、同金、75金 まで11手詰

あえて角の利きを遮る形で、48飛、57飛、66金と連打。そしてすぐさま2枚の飛車を捨て去り、角筋を通して75金まで。一手の無駄も隙もなく、狙い通り仕上げる満点の出来上がりです。
これを良く11手でまとめたものと感服します。宮田先生も絶賛の逸品。


スマホ詰パラ 2021年10月
No.17356 keima82氏作

17356_keima82202110

45角、34歩合、同角、22玉、33と、同玉、45桂、22玉、
33桂成、同玉、43歩成、22玉、33と、同玉、43香成、22玉、
33成香、同玉、43香成、22玉、33成香、同玉、43香成、22玉、
33成香、同玉、44金左、22玉、33金、同玉、25桂、22玉、
21桂成、同玉、43角成、12玉、13歩、22玉、44馬、21玉、
54馬、22玉、55馬、21玉、65馬、22玉、66馬、21玉、
76馬、22玉、77馬、21玉、87馬、32桂合、同馬、同玉、
24金、34桂合、同飛、21玉、32飛成、同玉、33桂成、21玉、
22成桂、同玉、34桂、32玉、42香成、21玉、33
 まで71手詰

4筋の香配置と玉方88歩から、手順は大体想像がつくでしょう。結局45筋の駒は、49香以外すべて捨てますが、その順序がきちんと決まっていて、手順前後が利かないのは流石です。
邪魔駒を整理してスッキリしたところで、馬鋸が登場し、収束は大駒2枚を消してピタリと着地。また、序の34歩合に対し、収束で34桂合とエコーのような捨合が出るのも、好感度を高めるアクセントになっています。
実は本作を紹介中、48香消去の理由を聞かれ、思い出せずに大慌て。皆さんのご協力で、27手目44金左に42玉と逃げた時、43角成、51玉、58飛62玉、53飛成以下詰ますためと判明しましたが、こんなんではダメですね。猛省。


スマホ詰パラ 2021年10月
No.17451 ぬ@y氏作

17451_y202110

15、24玉、26香、15玉、17香、26玉、28香、17玉、
29桂、同角成、27金 まで11手詰

この形からは15香打は必然。以下24玉には26香、15玉には17香と、4枚の香車をジグザグに連打します。前例がありそうな気はしますが、とてもシンプルにまとまっていて、この筋の決定版と言って良さそうです。何より、玉方381枚で香の打ち場所をすべて限定しているのが絶妙。
ところでぬ@yさん、このPNの読み方教えてください!


詰将棋メーカー 2021年10月 
ウリンチャージ氏作

_202110_19

49香、48歩合、同角成46玉、4735玉、4634玉、
4543玉、4432玉、41角、31玉、32歩、42玉、
4341玉、42 まで19手詰

2手目37玉は46角、56玉には23角があるので、48歩合。これを同角成と取ると、あとは一気呵成。48から42まで、馬が4筋を駆け上っていきます。
3筋の2枚のと金がうまい配置で、玉の逃げ方までしっかり限定。収束も好手41角からの巧妙な手順で、文句なしの一級品です。
正直、感動しました。


詰将棋メーカー 2021年10月 
シナトラ氏作  ◇4解 その1(変同利用)

_202110_3

(1)56銀、同玉、66龍 まで3手詰
(2)56銀、同と、65龍 まで3手詰
(3)56銀、同龍、64龍 まで3手詰
(4)56銀、54玉、63龍 まで3手詰


詰将棋メーカー2021年10月 
シナトラ氏作  ◇4解 その2(変同利用)

_202110_3_20211216184701

(1)46龍、同玉、56金 まで3手詰
(2)46龍、同馬、65金 まで3手詰
(3)46龍、同と、54金 まで3手詰
(4)46龍、同香、45金 まで3手詰

2作とも、変同を利用して複数解を表現した、シナトラさんらしい先進作。どちらも初出はTwitterとのことです。
その1は、最終手が66龍から63龍まで、6筋一直線の4種類。その2は、最終手の打ち場所が、56655445と菱形を形成しています。
いずれも複数解のお手本となるべき作品で、特に1は、わずか7枚の配置で鮮やかに4つの解を描き分けていて、現代の古典として記憶されるべき一局と信じます。

■例会が終わって1階に降りると、そこには宮田先生の姿が! 
詰キストの会合に、しかも二次会だけ参加してくださるプロなんて、そうはいません。もう、尊敬しかありません。

■この日も例会終了後は、無理をせず撤収。
帰りの電車の中では立ったままでしたが、それでも睡魔には勝てず、派手に膝カックンをしてしまいました。あ~、恥ずかしい。

■この日の模様について知りたい方は、例によってhirotsumeshogiさんのブログ「詰将棋の欠片」と、まっつぁんこさんの「あーうぃ だにぇっと」をご覧ください。

■ではまた。

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2021年12月11日 (土)

No.252 春霞賞候補作紹介 2021年7月号

詰パラ2021年7月号の春霞賞候補作を紹介いたします。

■デパート4 相馬慎一氏作
◇選択を封じる連続合

202174


66馬、55歩合、同馬、44歩合21金、32玉、87馬、65歩合
33歩、23玉、56馬、45桂合、同馬、同歩、15桂、33玉、
77馬、32玉、22金、同と、同馬、同玉、24香、31玉、
41歩成、同玉、42歩、31玉、32歩、同玉、23桂成、31玉、
22成桂 まで33手詰

太刀岡甫-選択肢を減らす中合。馬の移動先が2つあるのは非限定を生んで面倒だなと思っていたが、こんなに素晴らしい活用法があるとは。きわめて新しい。
會場健大-何度見返してもどうしてこの合駒が限定で成立しているのか不思議な気持ちになる。構想はただ成立しているだけではだめで、プラスアルファがなければいけない、という作者のことばを体現したような作
馬屋原剛-連続合の研究が盛んになっている昨今、全く新しいロジックがあること自体に驚いた。既存のロジックとは一線を画しており、作者はどのようにしてこの構想にたどり着いたのだろうか。 個人的には、今年の構想作の中で暫定No.1。
久保紀貴-2枚馬が描く無数の線と点を利用した全く新しい連続合。もう連続合のロジックに感動することはないと思っていたが……。

※2手目55歩合、4手目44歩合と連続中合をする。
なぜか? 
その後23玉となった時、「馬を横ではなく下に移動させる」(=馬の移動における選択肢を限定する)ため。
なんのためか? 
その意味は、単発では全く不明で、87馬に対する65歩合とセットになって、初めて理解できます。これを65同馬と取ってしまうと、23玉に対し、56馬引とせざるを得ず、2枚馬の利きが重複してしまう。すると、14玉、47馬に23玉とされ、逃れてしまうのです。
この発想にはただ脱帽する他ありません。相馬慎一、ここに在り!


■デパート3 市川孝夫氏作 「テレプシコーラ」
◇玉方銀の4回転

202173


64金、同銀、45角、54歩合、同角、52玉、72角成、55銀、
53歩、同玉、54歩、52玉、44桂、同銀、53歩成、同銀、
61馬、63玉、64歩、同銀、72馬、52玉』=『A』
56飛、55歩合、同飛、同銀、『A』
57飛、55歩合、同飛、同銀、『A』
58香、55歩合、同香、同銀、53歩、同玉、45桂、52玉、
85角、74桂合、同角、同と、44桂、同銀、53歩、同銀、
同桂成、同玉、54銀、52玉、61馬 まで79手詰

太刀岡甫-趣向的な作りで銀がぐるぐると回る。回数を重ねることで新たな手順を実現したという意味での構想作。視覚的に楽しめるのがよい。
會場健大-効率のよい配置を見つけて銀の四回転を実現。繰り返し趣向の味もあり、当初春霞賞のノミネート作に入ってこなかったが、詰工房会員の総意で復活。
馬屋原剛-銀の4回転。構想作というよりは、記録作と感じ候補から外していた。 非常に綺麗に出来ていて、最後の44桂を合駒で出すのも良い。
久保紀貴-4回転はすごいが、構想としては1×4に過ぎない印象を受け、当初のノミネートからは外していた。 好作であることに異論はない

※構想かどうか、意見が分かれる作品ですが、それを許容するのが春霞賞のスタンス。ノミネートから外れたのは、参考図の存在も影響したかも知れませんが、玉方銀のルントラウフ×4回というのは、単なる記録作には留まらないと言ってよいでしょう。


<参考図>

■詰パラ1986年11月号 相馬康幸氏作  
Collection No.8

198611_collection-no8


25銀、13玉、14歩、同銀、同銀、同玉、25銀、13玉、
14歩、12玉、21馬、23玉、32馬、12玉、13歩成、同玉、
14馬、22玉、32馬、12玉、13歩、同玉、14歩、12玉、
21馬、23玉、24歩、同銀、32馬、12玉、13歩成、同銀、
21馬、23玉、24歩、同銀、32馬、12玉』=『A』
16香、15歩合、同香、同銀、『A』
18飛、15歩合、同飛、同銀、『A』
19龍、15歩合、同龍、同銀、13歩、同玉、14歩、12玉、
21馬、23玉、35桂、同と、32馬、12玉、13歩成、同玉、
14銀、24玉、23馬 まで101手詰

 

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