No.254 春霞賞候補作紹介 2021年8月号
詰パラ2021年8月号の春霞賞候補作を紹介いたします。
■大学院3 若島 正氏作 「スロット・マシン」
◇グループ中合およびそのための中合
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27香、23歩合、同金、11玉、12金、同玉、62龍、42歩合、
同龍、32香打合、13歩、同玉、53龍、43歩合、14歩、同玉、
64龍、54歩合、15歩、同玉、75龍、65歩合、16歩、同玉、
86龍、27玉、28金、同金、26龍、38玉、28龍、49玉、
(A)58馬、同と、48金、59玉、58金、69玉、(B)68金、79玉、
64成桂、88玉、78飛成、99玉、66角、同歩、89龍、同玉、
39龍、79銀合、78銀、98玉、99香、88玉、79龍、同玉、
69金、88玉、89歩、99玉、88銀、98玉、87銀右、同成桂、
99歩、89玉、79金 まで67手詰
太刀岡甫-玉方が壁を作るのもすごいが、特に42歩合で歩合の回数を増やす点が素晴らしい。タテヨコの経路上に駒を置けない制約の中で、少ない駒数で完璧にまとめている。
馬屋原剛-中合によって壁を作る意欲的な構想。メインディッシュの前の42歩合がいいスパイス。 だが、剛腕で作られている感じがしてあまり若島氏らしくない印象はある。氏ならよりスマートな表現をできたのではと感じた。
會場健大-「夢の浮橋」を連想させる趣向手順を構想の一部として実現した作品。作者の昔の作品と近年の指向が融合したようでその点でも印象的。
※6手目62龍と、龍が動き出してからが本題。この後、玉頭への歩打ちと龍引きを繰り返しながら86金を狙いに行くのに対し、7手目42歩合で龍を呼んでから、53龍に43歩合、64龍に54歩合、75龍には65歩合と連続歩中合をするのが、名作「夢の浮橋」を彷彿とさせる新構想。
その意味は、玉が9段目に逃げ込んだ時、72飛を横に活用する順を阻止するため。すなわち、
①43歩がない場合は、(A)59金、同と左、42飛成以下
②54歩がない場合は、(B)59金、同玉、52飛成以下
③65歩がない場合は、(B)62飛成以下
で、いずれも早く詰むのです。
3つの合駒が揃って初めて受けになる「グループ中合」と、それを実現させるための42歩合という、前例のない構想の実現は、例会参加者からも高く評価されました。
<参考図>
■近代将棋1972年2月号 若島 正氏作 「夢の浮橋」
『盤上のファンタジア』第96番
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32銀上成、12玉、22成銀、同玉、32銀成、12玉、22成銀、同玉、
24龍、12玉、61銀生、82歩合、21龍、13玉、93龍、83歩、
同龍、73歩合、14歩、同玉、84龍、74歩、同龍、64歩合、
15歩、同玉、75龍、65歩、同龍、55歩合、16歩、同玉、
66龍、56歩、同龍、46歩合、17歩、同玉、19香、18角合、
57龍、47歩成、同龍、37銀合、同龍、同角成、18香、同玉、
29銀、19玉、28角、29玉、37角、38玉、28龍、47玉、
48龍、56玉、74角、65香合、57歩、67玉、68龍、76玉、
65角、85玉、74角、同玉、65龍、84玉、73角成、同玉、
64龍、83玉、72銀生、同玉、63龍、81玉、82歩、91玉、
97香、同と、94香、92歩合、81歩成、同玉、83龍、71玉、
73龍、(イ)81玉、82歩、91玉、71龍 まで93手詰
(イ)72歩合で変長
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