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2022年1月

2022年1月16日 (日)

No.256 春霞賞候補作紹介 2021年9月号

詰パラ20219月号の春霞賞候補作を紹介します。

■高等学校12 原田 豪氏作  「橋」
◇新し気なグループ合駒

2021912_

87馬、65飛合32銀、34玉、78馬、67飛打合23銀生、25玉、
37桂、同飛成、34馬、同桂、14銀生 まで13手詰

馬屋原剛-何が何でも37に利きを残したいという複合合駒。意味づけはシンプルだが、構想が伝わりやすい造りとなっており好感が持てる。
太刀岡甫-飛を取られても飛の利きが残るようにする複合合駒。1枚目を中合で行った点と構想を簡潔にまとめている点が素晴らしい。
久保紀貴-37に利きを作る飛合と、その利きを失わないための飛合。これまでになかったのが不思議なくらいのシンプルさに拍手を送りたい。
會場健大-合駒が移動した先でどのマスに効いているか、という作に見えたので、最初新しさがわからなかったが、グループ合駒の新しい表現と言われてなるほどと思った。

※2手目、65に飛車の中合。成桂にヒモを付けて76飛合ならまだ分かるが、なぜ65なのか。そして、なぜ飛車なのか。さらに6手目、今度は67に飛車を打つ。この2つの飛合の目的はただ一つ、37桂打への備えにありました。67飛打合を同馬と取られても、同飛と取り返せば、37への飛車の利きは残るという訳です。
構想としての目新しさに加え、結局飛車は1枚も取らずに詰ませる構成も、なかなか洒落ています。また1人、楽しみな作者が現れました


■デパート5 中村宜幹氏作  「国士無双」
◇13種合

202195_

19香、18馬、同金、16玉、28金、17成銀、同金、15玉、
27金、16角、同金、14玉、26金、15銀、同金、13玉、
25金、14成桂、同金、12玉、24金、13桂、同金、21玉、
12金、32玉、21銀、42玉、97角、86成香、同角、75香
同角、64飛、同角、53と54桂、52玉、61銀、63
81角、72歩、同角成、74玉、75飛、84玉、76桂、95玉、
97香、86玉、87歩、77玉、55角、66金84桂、67玉、
78と、57玉、59香、58龍、同香、47玉、48飛 まで63手詰

馬屋原剛-「夢の詰将棋」の実現に、まずは拍手を送りたい。 縦と斜めのラインで一気に合駒を出すところが実にエレガント。 構想作というより条件作のような気がするが、作品自体はとても素晴らしい。
太刀岡甫-13種移動合。提唱から長い年月を経ており、完成したこと自体素晴らしい。将棋盤の使い方が効率的で、短い収束も美しい。本作は条件作だが、これを構想に含めるかどうかを議論するには構想作の定義を整備する必要がある。現状、疑わしきは構想作としたい。
久保紀貴-夢の詰将棋。スマートな実現方法は、えげつない手順をまるでいともたやすく行われているかのように見せている。無論傑作で、某賞の有力候補であろう。 ただ、構想作にはあたらないと思うため、春霞賞の土俵で評価することには疑問が残る
(※構想作は、 目に見えるもの、すなわち表面上の手順や初形/終形 ではなく、 手順の裏側にある意味 に主張があるものを言うのだと思っています。)
會場健大-圧倒的な作でもあるし、この手があったか、という目からうろこの表現でもある。ほとんど2つのラインでこれだけの移動合を出しているのはエレガント。

※久保さんのご意見は全くその通りで、構想作は手順本位であるべきです。
春霞賞においては、これまで構想作の定義を明確にせず、詰工房の出席者にその判断を委ねてきました。これを機に、構想作とは何か、一度きちんと議論するべきかも知れません。
「国士無双」に関しては、自分は頭24手の「連続移動合ユニット」の発見を高く評価します。4手に1回、1筋だけで6度の移動合の実現なくして、13種合は完成しませんでした。本作は、この構造体の発見により、春霞賞の対象となり得ると考えます。


<参考図>
■詰パラ1981年12月号 深井一伸氏作 「七対子」
◇看寿賞受賞

19823_20220116153501

18馬、54歩合71と、同玉、73飛成、72飛合61香成、同玉、
72龍、同玉、52飛、73玉、62飛成、74玉、29馬、85玉、
65龍、75銀合95と、同玉、75龍、85香合84銀、96玉、
87銀、同玉、85龍、86香合88香、同金、同金、同玉
86龍、79玉、78金、同玉、56馬、69玉、89龍、79金合
59金、同玉、79龍、69金合49金、同玉、69龍、59銀合
39金、同玉、59龍、49角合29馬、同玉、49龍、39飛合
38銀、28玉、46角、37桂合、同角、17玉、19香、18角合
29桂、同飛成、18香、同龍、39角、28歩合、同角上、同龍、
同角、26玉、22飛、15玉、37角、14玉、15歩、13
46角、35桂合、同角、同歩、25桂、同桂、43龍、同桂
14銀 まで89手詰

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2022年1月11日 (火)

No. 255 第373回詰工房例会報告

■1219日(日)詰工房の例会に参加してきました。
参加者:會○健大、青○裕一、馬○原剛、金○清志、久○紀貴、小○正浩、近○郷、澤○友太、新○江○弘、芹○修、竹○健一、太○岡甫、利○偉、深○一伸、三○郁夫、柳○明、田中徹 
以上16名(以上敬称略)
※漏れや誤字があったら申し訳ありません。

■今更ですが、新年明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

2021年最後の例会は、参加者が制限人数一杯の16名と盛況でした。
初参加の澤○さんに、三○さんは10年振りくらい? ともかく相当に久し振りの参加なのだそうです。ご無沙汰しておりました!
ただ、落ち着いていたコロナ感染者数が、いきなり急増してきました。1/8のたま研は無事開催にこぎ着けましたが、この先がまた不透明になりそうです。
まったく、いつまで続くことやら…。

15時を過ぎて、春霞賞の選考の時間。
解説は會○さん…でしたが、少し遅れてくるとのことで、先に注目先の紹介をすることになりました。その中から、いくつかピックアップしていきます。

<参考図>
詰パラ1981年12月号 深井一伸氏作  「七対子」

19823

18馬、54歩合71と、同玉、73飛成、72飛合61香成、同玉、
72龍、同玉、52飛、73玉、62飛成、74玉、29馬、85玉、
65龍、75銀合95と、同玉、75龍、85香合84銀、96玉、
87銀、同玉、85龍、86香合88香、同金、同金、同玉、
86龍、79玉、78金、同玉、56馬、69玉、89龍、79金合
59金、同玉、79龍、69金合49金、同玉、69龍、59銀合
39金、同玉、59龍、49角合29馬、同玉、49龍、39飛合
38銀、28玉、46角、37桂合、同角、17玉、19香、18角合
29桂、同飛成18香、同龍、39角、28歩合、同角上、同龍、
同角、26玉、22飛、15玉、37角、14玉、15歩、13玉、
46角、35桂合、同角、同歩、25桂、同桂、43龍、同桂、
14銀 まで89手詰

中村宜幹氏作「国士無双」の結果発表で、超レアな深井さんの短評を発見! 元々、参考図として深井さんの「七対子」を載せる予定だったので、レジメの「国士無双」の紹介頁で、合せてその短評も採用することにしました。
そんな経緯もあって、詰工房の会場で深井さんの姿を見た時は驚きましたが、今思えば、「国士無双」が深井さんをここへと導いたのでしょう。
注目作の紹介で「七対子」について触れた際、作者に一言お願いしたところ、40年前、結果発表時の作者の言葉で「…ところで13種移動合の国士無双を誰か作りませんかね」と呼び掛けていたとのこと。
この呼び掛けに応える作品が、40年を経て、ようやく現れた!…
「国士無双」の出現に対する深井さんの興奮が伝わってくるようでした。
ところでこの「七対子」、作者としては、2手目の歩合だけが消えずに残ってしまうことや、「暗算で行ける」ほど易しいことなどが不満なのだそうですが…。
「暗算…」のくだりには、盛大なブーイングが浴びせられたことは言うまでもありません。

詰パラ 2021年9月号
大学7 原田清実氏作

202197

33銀、同玉、51角、42歩合、同飛成、24玉、46龍33銀合、
25歩、13玉、24銀、同銀、同角成、22玉、42龍、32桂合、
13銀、同馬、33馬、12玉、32龍、22桂合、24桂、11玉、
22龍、同馬、23桂、21玉、32桂成、同馬、11馬 まで31手詰

7手目は45龍と開くのが普通ですが、それでは25歩の時15玉と逃げられて失敗。正解は46龍と一路深く引く手で、盤面6枚の美形からこんな好手が飛び出せば、それだけで好作確定ですが、この後も2度の限定合が出てきて文句なし。
また一つ、簡素図式の名作誕生です。

詰パラ 2021年9月号
デパート2 齋藤光寿氏作

202192

36飛、35角、同飛、同桂、75角、64飛、同角、22玉、
31角成、同玉、42銀生、22玉、33馬、13玉、14飛、同玉、
24馬まで17手詰

16金に狙いを付けた初手36飛に35角の受けは分かるとしても、75角に対する64飛移動合はウッカリしやすいところ。一局に角と飛車の移動合を織り込んだうえ、見方によっては持駒の飛を角に、さらに角を飛に変換する、飛車のフェニックステーマにもなっています。作者としては軽めながら、配置・手順ともにしっかりした仕上げで、確かな創作力を感じます。
18日に行われた「たま研」でも作者の話題が出て、最近の目覚ましい活躍振りに、かなり注目を集めている様子が伺えました。
作者は現在奨励会3段。こちらの方でもぜひ夢をかなえてほしいものです。

詰パラ 2021年9月号
デパート3 岡本眞一郎氏作

202193

33銀生、51玉、52歩成、同玉、62金、同玉、54桂、53玉、
44金、64玉、69飛、67香合、同飛、同角成、65香、55玉、
47桂、同銀生、45金、同香、44銀生、54玉、56飛、同銀生、
66桂、同馬、55歩、同馬、53銀成まで29手詰

        【詰上がり図】

202193_

3手目52歩成が、二歩禁回避の伏線的歩消去。53歩を残したままだと、収束の55歩が打てません。
そして12手目67香合が、いわゆる不利合駒。ここで普通に歩合なら、作意順で23手目55歩と打つことができ、以下63玉、53銀成まで早詰。67香合であれば、65の駒が香になるため、55歩が打歩詰になるという仕掛けです。
あぶり出しで不利合駒は、滅多にお目に掛かれない希少品種で、さらには、双方銀不成まで入っているという豪華版。出席者からも「良く入ったなぁ」と、称賛の声が相次ぎました。脱帽です。

スマホ詰パラ 2021年11月 
No.17571 瓶子吉伸氏作

17571_202111

22銀、24玉、33銀生、同玉、43桂成、同銀、22角、24玉、
13角成、同玉、33飛、同桂、23金、14玉、24金、同角、
23銀生、同玉、12飛成 まで19

全編捨て駒のオンパレード。中でも3度の「打っては捨てる」が実に良い味を出していて、43桂成のような難手も交え、手筋物の最高級品と言えるでしょう。
作者がスマホ詰パラに投稿されるようになってから、ずっと注目していますが、どの作品もレベルが高く、流石と言う他ありません。

スマホ詰パラ 2021年11月 
No.17621 Hiroshi Sawaki氏作

17621_hiroshi-sawaki202111

2317と、12歩、21玉、33玉31玉、43玉41玉、
53玉51玉、63玉61玉、52香成、71玉、62成香、81玉、
74玉18と、93桂、92玉、85玉56歩、81銀、93玉、
94歩、83玉、95玉73玉、72銀成、64玉、84飛、55玉、
47桂、45玉、35と、46玉、37銀、57玉、48と、67玉、
59桂、66玉、64飛、65桂合、78桂 まで45手詰

ご覧の通り、攻方の王が1筋から9筋まで、盤面を横断します。この狙いには先行作があるようですが、本作も無理なく大移動を実現しているあたり、十分に評価に値します。出席者の反応も「面白い趣向作」という好意的な声が多かったように思います。
ただし、収束は改善の余地ありですね。

詰将棋メーカー 2021年11月 
ポンちゃん氏作

_202111_17

72龍、62歩合、32馬、13玉、63龍引、同歩、同龍、33桂
同龍、同金、25桂、同歩、22銀、12玉、13歩、同角、
21銀生まで17手詰

初手72龍で歩合をさせてから32馬とすると、同玉は34龍以下詰むので13玉と躱す。
そこで、63龍引として2枚の龍と1歩を交換しに行くのが面白い攻め筋で、歩を入手してからの22銀~13歩の詰みを見ています。
ところが7手目同龍の時、33桂の移動合がその上を行く妙防で、13への利きを消して、歩詰誘致を図ります。が、結局は桂馬を渡したため、24桂捨てが決め手となり、角の利きを逆用されて詰上がります。
力の籠った攻防は最後まで見応えがあり、出席者の評判も上々でした。

■注目作の紹介が終わると、會○さんの司会による、春霞賞選考会のスタートです。
ノミネートは2作だけでしたが、この2作、全く性格の異なる作品ながら、いずれも優劣付け難い力作で、投票の結果は何と全くの同点!
よって、2作とも最終候補に残ることになりました。

詰パラ 2021年9月号
原田豪氏作

詰パラ 2021年9月号
中村宜幹氏作 「国士無双」

詳しくは別稿にて。

■この日も例会終了後は、無理をせず撤収。
帰りの電車は磯子行きで、途中で座ったら途端に爆睡。親切な乗客の方に、「終点ですよ」と声を掛けていただかなかったら、車庫に入っていたかも?

■1月の例会の会場は従来と同じ「きゅりあん」ですが、「きゅりあん」がリニューアル工事に入るため、しばらく他の会場での開催になります。今のところ、2月と3月の例会は蒲田の大田区産業プラザに決定です。以前、解答選手権の会場にもなっているので、ご存知の方も多いことでしょう。京急蒲田駅から徒歩3分です。

■この日の模様について知りたい方は、例によってhirotsumeshogiさんのブログ、「詰将棋の欠片」をご覧ください。

■ではまた。

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