« No. 257 第374回詰工房例会報告 | トップページ | No. 259 第375回詰工房例会報告 »

2022年3月 7日 (月)

No.258 春霞賞候補作紹介 2021年10月号

詰パラ202110月号の春霞賞候補作をご紹介いたします。

■デパート4 岩村凛太朗氏作   ◇壁駒発生×5枚

2021104_20220307004901

52桂成、55桂合83角成、同玉、82と、73玉、72成香、63玉、
27馬、36歩合、同馬、45歩合62成桂、53玉、26馬、35角合
52成桂、63玉、62成香、73玉、72と、83玉、82成香、93玉、
48馬、57成香94歩、同成桂、92成香、83玉、38馬、56歩合
82と、73玉、72成香、63玉、62成桂、53玉、52成香、43玉、
16馬、同飛、42成香、53玉、33龍、64玉、73龍、65玉、
66歩、54玉、63龍、44玉、43龍 まで53手詰

太刀岡甫1枚の馬を使ってL字の壁をつくる。全てが作意で壁として機能しているのが良い。
馬屋原剛-伏線手として合駒群を発生させ、収束の壁として逆用する構想。斬新な作品だと思っていたが、構想作としては前例があった。(黒川一郎「矢来」)http://kazemidori.fool.jp/?p=12806 全くの新構想ではなかったものの、(矢来と比較して)合駒の発生の仕方がパズルチックで楽しめる点、壁駒の意味が最後にならないとわからない点で、魅力的な作品ではあると感じる。
久保紀貴-一号局ではなかったようだが、それでも目新しさはある。壁駒の位置がL字になっているところなど、少し不規則な味が楽しめるのもよいと思う。
會場健大-空中に壁を築き上げ、それをすべて生かして収束させる手順がみごと。

※先行作の「矢来」は、同じ機構の歩合を単純に7回繰り返して(趣向作ですから当然ですが)、一直線に壁を築きます。
一方岩村作は、壁の作り方が一様ではなく、5回の合駒を文字通り「積み重ねている」点に特徴があります。
合駒した角の利きに成香の移動合をし、さらに成香の利きに歩合をする。しかも、その前の45歩合によって、歩合の位置は56に限定される。
といった具合に、1つの合駒が次の合駒の発生に関連する多重構造となっているのです。
結果としてL字型という不規則な壁を築くことに成功しており、もはや黒川作とは別構想と言っても差し支えないでしょう。
原型のまま合駒を伏線的に発生させる狙いの作品は、過去にも多数発表されていますが、これだけ大掛かりな舞台装置で、忽然とL字型の壁を出現させた例は、ほとんど記憶にありません。
お見事です。


<参考図>

■近代将棋1970年7月号 黒川一郎氏作  「矢来」

0201____197007

23香成、同玉、24歩、33玉、34歩、43玉、44歩、53玉、
54歩、63玉、64歩、73玉、74歩、83玉、84歩、93玉、
95龍、94歩合、83歩成、同玉、85龍、84歩合、73歩成、同玉、
75龍、74歩合、63歩成、同玉、65龍、64歩合、53歩成、同玉、
55龍、54歩合、43歩成、同玉、45龍、44歩合、33歩成、同玉、
35龍、34歩合、23歩成、同玉、25龍、24歩合、同龍、同玉、
22飛成、23飛合、16桂、14玉、25成桂、同飛、同龍、同玉、
23飛、36玉、27飛成、46玉、56成桂、同玉、67金、46玉、
57金、55玉、56歩、65玉、66金、同玉、67龍、75玉、
76歩、86玉、87銀、97玉、98銀、88玉、89香、99玉、
88銀、98玉、87龍、89玉、77銀、79玉、88龍、69玉、
68龍 まで89手詰

|

« No. 257 第374回詰工房例会報告 | トップページ | No. 259 第375回詰工房例会報告 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« No. 257 第374回詰工房例会報告 | トップページ | No. 259 第375回詰工房例会報告 »