春霞賞

2021年4月20日 (火)

No.235 第8回春霞賞候補作 全14作紹介・不在者投票

2020年の春霞賞候補作、全14作が出揃いました。
候補作の一覧を作成しましたので、ご参照ください。

「第8回春霞賞 候補作一覧」 ↓
2020e5b9b4e38080e698a5e99c9ee8b39ee58099e8a39ce4bd9c.pdf


また、24日の例会に参加できない方のために、不在者投票用紙を用意いたしました。
下記のファイルをダウンロードし、投票作3作(以内)を選んで管理人宛てにメール送信してください。
(右側のサイドバーから「メールを送信」をクリック)
なお、不在者投票の有資格者は、直近2年間の詰工房の例会に1度でも参加されたことのある方といたします。
締切:24日(土)午前10時まで

「不在者投票用紙」
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締切まで時間がなくてすみません!
どうぞよろしく!

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No.234 春霞賞候補作紹介 2020年10~12月号

2020年10月号の春霞賞候補作

■短期大学18 石本 仰氏作    
◇ブルータス手筋の応用

20201018

53角、52玉、75角成55歩合、53飛、41玉、42歩、同玉、
55飛引成、33玉、34歩、同玉、64龍44桂合、同龍、同玉、
53馬、33玉、34歩、同玉、54飛、33玉、25桂、同香、
24と まで25手詰

馬屋原剛-どう見ても75角が筋なのに64歩合でうまくいかない。この紛れがあるからこそ短打~開王手でブルータス手筋を実現する手順が際立っている。
久保紀貴-「開き王手にして中合を許さない」ことで「ブルータス手筋」を実現する。 非常に高度な構想でありながら、仕掛けの見えない形・歩が±0になる緻密な手順によって表現しているのも素晴らしい。傑作。
太刀岡甫作意では馬と龍によるブルータス手筋が現れるが、紛れとして角と飛によるブルータス手筋が存在するのが面白い。一歩踏み込んだ新しい表現だと思う。
會場健大-打って王手すると合駒で位置をずらされるが、空き王手で移動すれば好きな位置を選べる。難しいことを簡単そうにやっている。

※ブルータス手筋は、飛角香の遠打から始まり、他の駒の限定移動によって打った駒の利きを遮るのが一般的です。この「遠打」の代わりに「短打+空き王手」でやってみよう、というのが作者の狙い。派手さはありませんが、作意と紛れの微妙な切り分けなど、味わい深い構想作に仕上がっています。


■デパート3 斎藤慎太郎氏作     
◇中合で発生した銀の一回転

2020103


43銀、同歩、67馬、56銀合45銀、35玉、47桂、同銀生
36銀、同銀生47桂、44玉、46龍、45桂合、55龍、34玉、
45龍、同銀46桂、44玉、77馬、66桂合、同馬、同歩、
56桂、同銀54馬 まで27手詰

馬屋原剛-中合銀を一回転させる離れ業。成れる余地がある中での銀生は味が良い。初手の銀打に始まり終始緩みない手順で構成されている。
久保紀貴-中合銀の1回転は初か。玉から遠い位置で回転させるのはかなり難しいと思うが、うまい手順構成で綺麗に回転させており、これ以上望めないのではという完成度に仕上がっている。流石である。
太刀岡甫中合した銀の一回転。シンプルな意味付けがなく力技での表現が必須となるが、本作は構想以外の手順も合駒を含んで非常に良くできており、高度な創作技術が感じられる。
會場健大-力作。主題の前の43銀もかなり深い変化を含んで厚みがある。やりたい放題やっている割には配置も整理されている印象。谷川先生に続く名人の図式集をぜひ。

※玉方銀の1回転。しかもその銀を中合で出現させてしまおうという、夢のような手順を見事に実現してみせた力作。卓越した構想力と、プロの深い読みの力が生んだ結晶とも言えるでしょう。
渡辺名人に挑戦中の斎藤八段、その勝負の行方にも注目が集まります。


2020年11月号の春霞賞候補作

■たま研1 太刀岡甫氏作      
◇飛車の翻弄+飛成らせ

20201124


79馬、57歩合、47桂、同飛生57馬、同飛生27桂、同飛生
47桂、同飛成27桂、同龍36歩、同龍25
 まで15手詰

太刀岡甫桂打3連発。これだけでは前例があるが、もう1枚の桂を不動玉のまま捨てたことと歩打以下の収束を最短で纏めたのは初。駒取りが必要だったので、合駒を取る形にした。
會場健大-広瀬稔作(パラ2015.8)の印象が強いが、さらに序奏でもう1枚捨てたのが作者の工夫か。
馬屋原剛-3手目から飛の翻弄が始まる。不動玉なのに持駒の4桂を消費できるのは驚きだ。飛を龍に変えるための桂打3連発は前例があるが手順の統一感が抜群だ。
久保紀貴-飛の成生と1歩入手をキーに不動玉に対する4桂捨てを実現。非常に欲張ったキーの設定で、作者らしさを感じる。

※「不動玉に対する4桂の打ち捨て」と表現する方が、本作を理解しやすいかも知れません。単純な桂捨てだけでは、3桂捨てが限界。そこで、合駒の歩を入手する目的でもう1回桂捨てを入れ、桂4回の桂捨てを実現しました。半期賞受賞の傑作です。


 <参考図>

詰パラ2015年8月号 広瀬稔氏作

201581


67
、同飛生、47桂、同飛成、67桂、同龍、44銀、54玉、
66桂、同龍、55歩、同龍、43銀生 まで13手詰

神谷薫―序6手の理論の簡便さが素晴らしい。


2020年12月号の候補作

■創棋会1 野曽原直之氏作      
◇同一の駒による「シフマン+ペレ」

2020121


59香、58角合57角、76角成、24角、58馬、57銀、同馬、
46と まで9手詰

作者-同一の駒が同じ位置へ2回合駒しシフマンとペレを実行するのが狙い。

馬屋原剛-ペレとシフマンを一つの合駒でやる作例は、詰パラ2021年4月号のちえのわ雑文集の通り、大崎作、夜神作があるが、シフマンで動いた角がもう一度合駒として飛び込む点に作者のこだわりを感じる。
會場健大-ペレ+シフマンの欲張りセット。24角を限定にする作りにこだわりを感じた。
太刀岡甫-ペレとシフマンを1枚の駒で行うというだけなら短手数でできる(矢神作、大崎作等)。本作は1枚の駒を同じ地点に2回中合するのがすごい。中合動かしにはまだ色々なバリエーションがありそうだ。
久保紀貴-ペレ+シフマンを、同じ地点同一の駒で表現したのがオリジナリティ。元の地点に移動中合で戻すのは非常に華があります。

※同一の駒が同じ位置へ2回合駒する作品も、「シフマン+ペレ」も前例がありますが、それらを1局に凝縮した結果、9手詰とは思えない高密度の作品が誕生しました。作者の拘りが詰め込まれた逸品です。


<参考図①>

■詰パラ2020年12月号 大崎壮太郎氏作       

2020125


63角成、45馬44銀成、同馬、45馬、53馬、44馬 
まで7手詰


<参考図②>

■スマホ詰パラ 2020年11月 夜神ココ氏作  No.15740    

15740_202011


29香、28飛合、27銀同飛成28馬36龍、27馬
まで7手詰

<参考図①><参考図②>については、詰パラ2021年4月号「ちえのわ雑文集」(大崎壮太郎氏著)をご参照ください。


これで、2020年の候補作が出揃いました。
次回、24日の例会で、大賞が決まります。お楽しみに!

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2021年2月14日 (日)

No.232 春霞賞候補作紹介 2020年8月号

詰パラ20208月号の春霞賞候補作を紹介いたします。
(9月号は該当作なし)

■短期大学10 宮原 航氏作 「跳ね玉兎」
最後に9段目に利きをつくるための4段跳ね合

0400-10


41桂成、52玉、96馬、63桂51成桂、42玉、97馬、75桂
41と、32玉、98馬、87桂生31と右、22玉、99馬、同桂成
44角、33角合、同角成、同銀、12飛成、同玉、21角、22玉、
32と まで25手詰

馬屋原剛-馬引に歩の移動中合を繰り返す作品はあるが、桂の移動中合は初めて見た。今まで作られなかったのがとても不思議。 仕掛けらしい仕掛けがほとんど見当たらいので、桂のダイナミックな移動中合が一層映えて見える。
久保紀貴-桂の4段跳ねというと1+1+1+1の構成になっていることがほとんどだと思うが、本作は最初の跳躍が最後の跳躍を目的にしており、4段跳ねが一連なりのものとして構成されている。この点が非常に素晴らしく、従来の4段跳ね作品とは一線を画していると思う。
太刀岡甫-隅に角1枚置くだけで茫洋な空間に桂4段跳ねが出現する。非常にシンプルな機構だが、こんな新構想がまだ眠っていたのかと驚いた。最後に飛を捨てる点など細部の表現も流石である。
會場健大-駒台にない駒を合駒しようと思ったら、連れてくるしかない、ということなのだけれど、それにしてもうまく作るもの。

※視覚効果抜群の新構想を鮮やかに実現。細かいことですが、成桂や自陣と金配置を避けた気配りにも好感が持てます。
これが宮原氏の本格復帰となることを祈ります。

■大学5 齋藤光寿氏作
居食い利用の玉方原型消去×3

0600-5


56飛、66歩、同角、77歩合、同角、66桂右、同角、77桂合、
同角、66桂68桂、75玉、66角、65玉、55飛、66玉、
58桂、同歩成、56飛、65玉、57桂、同と、55飛、66玉、
67歩、同と、56飛、65玉、66歩、同と、55飛、64玉、
85飛、37香合、同角、同歩成、56桂、同と、65
 まで39手詰

馬屋原剛-打歩詰誘致のため取り歩駒消去の手段がユニーク。余分に取らされた桂を使って新たな取り歩駒を発生させて収束しており、うまいストーリーになっている。
久保紀貴-居食いを無駄合の主張ではなく、置き駒の消去に(ポジティブに)利用する発想がよい。さらに消去の意味づけも工夫して居食いを繰り返したことには作者の非凡なセンスを感じた。
太刀岡甫-打歩誘致の玉方邪魔駒消去はよくあるが、1箇所の地点で何枚消去できるかという発想が面白い。趣向手順中に別の位置でも駒を取るというストイックな作りで、大量の駒を使い切る機構に感心した。
會場健大-利き消去の趣向化、という感じなのだが、この構図をうまく制御したもの。収束の非限定は本質的でないので気にならない。

※66の地点への利きを無くすための、捨合による2枚桂消去を主眼に、歩の移動捨合を加え、さらに77の地点でも2度の捨合を行うという、作者の圧倒的な熱量が伝わってくるような、力の籠った一局。その後の、玉方57歩を逆用して歩詰を打開する手順も含めて、申し分のない仕上がりです。


■諸事情により更新が遅れたことをお詫びいたします。
ここで、2020年の春霞賞候補作を振り返っておきましょう。

「2020年の春霞賞候補作」(9月号発表分まで)

1月号 該当作なし)
2月号 短期大学8   太刀岡 甫氏作
3月号 短期大学12   若島  正氏作
同   デパート3    大崎壮太郎氏作
4月号 デパート2   馬屋原 剛氏作
5月号 中学校23    渡辺 直史氏作
6月号 同人室8    三輪 勝昭氏作
同   創棋会1     中村 宜幹氏作
7月号 短期大学3   青木 裕一氏作
8月号 短期大学10   宮原  航氏作
同    大学5      齋藤 光寿氏作
9月号 該当作なし)

※今年も大激戦! 大賞の行方は皆目見当が付きません。

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2020年11月24日 (火)

No.230 春霞賞候補作紹介 2020年7月号

詰パラ20207月号の春霞賞候補作を紹介いたします。

■短期大学3 青木裕一氏作
2種類の合駒による馬屋原手筋


54銀生、73角合、同龍、63桂合、同龍、53桂合、23銀成、34玉、
24成銀、35玉、34成銀、同玉、23角、33玉、53龍、同龍、
45桂、22玉、34桂、31玉、32角成、同玉、22香成
まで23手詰

會場健大-異なる種類の駒による不規則?馬屋原手筋。一見魔法のような手順だが、86金を巡る攻防が理解されると今度は幾何学的な味わいに印象が変わる。
太刀岡甫-馬屋原手筋の派生。駒種を変えただけでなく、同じ意味付けで駒種の異なる中合が出てくるのが面白い。95と75に引かせなくないが83にも呼びたくないという状況を金1枚で実現しているのがきれい。
馬屋原剛-2枚目の中合も角にした方がインパクトがあると思ったのだが、同じ意味付けで異種の連続中合をするのが作者の狙い。だが、若島作(盤上のファンタジア53番)の原図の紛れの逃れ順に67桂〜57桂〜37角の三段中合があるので、新味は感じなかった。
久保紀貴-同一の目的で異種類の合駒が飛び出す連続合。連続合に複数種の合駒が混ざるのは新しいと思っていたが、馬屋原さん指摘の若島作があったか。とはいえ馬屋原手筋(と呼ばれている連合原理。なんで手筋?)でやったのは初ということで、一歩踏み込んだ作品になっているのは間違いない。

※異なる駒種の連中合は、縦型なら良く見掛けますが、横型では珍しい。本作は、それを横型の馬屋原手筋で実現したことに意義があります。
合駒に情熱を燃やす作者ならではの一局です。


<参考図①>
詰パラ2015年11月号 馬屋原剛氏作


93角、84飛合、同角成、75飛合、同馬、46玉、55銀、同玉、
54飛、同玉、44飛、63玉、64馬、62玉、73銀、71玉、
82銀生、62玉、73馬、53玉、45桂、同角、64馬、62玉、
73銀生、71玉、41飛成、61桂合、同龍、同玉、62歩、71玉、
83桂、81玉、82銀成 まで35手詰

※93に打った角は、82角成~72馬として、敵方の角の入手を目論んでいます。そこで84飛中合で82角成を防ぎますが、同角成の後、73馬~72馬でやはり角を狙われるため、更に75飛中合が必要になります。
これが従来になかった新しい中合原理で、その後「馬屋原手筋」と名付けられました。


<参考図②>
近代将棋1979年12月号 若島正氏作 (恋唄第38番)  ■塚田賞


(A)9737歩合、同馬、17玉、38馬、57歩合、同飛、37角合、
同飛、26玉、27飛、15玉、24銀打、14玉、15歩、同と、
同銀、同玉、24銀生、14玉、13銀成、同玉、22角、14玉、
15歩、同玉、33角成、同銀、16歩、同玉、17
 まで31手詰

(A)87飛なら、37桂合、同馬、17玉、38馬、77桂合、同飛、67桂合、同飛、57桂合、同飛、37角合以下、歩が入手できず不詰

※馬屋原さんのコメントにある、「若島作(盤上のファンタジア53)の原図の紛れの逃れ順」とは、上記(A)の順を指します。
この逃れ順の中合原理は、山田修司氏の塚田賞受賞作、四桂連合と同じで、9段目に高価な合駒を請求されるのを防ぐため、というもの。一方馬屋原手筋は、質駒を取られないようにするためで、同じ中合でも構造は異なりますが、どれだけ新しさを感じるかは人それぞれですね。


<参考図③>
盤上のファンタジア 第53番 若島正氏作
(上記参考図②の改作図)


97
36玉、37飛、26玉、38飛、16玉、25銀、同玉、
28飛、14玉、58馬、47桂合、同馬、同歩成、23銀、13玉、
25桂、23玉、33桂成、14玉、23飛成
 まで21手詰

※参考図②の改作図。初手87飛に対する逃れ順を含みとした飛車の最遠移動は原図と同じですが、その後の展開は全くの別物になっています。あの塚田賞作がこうなるのか、と驚くほどの変わりようですが、作者の詰棋観の移ろいを反映したものと推察します。

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2020年11月 4日 (水)

No.228 春霞賞候補作紹介 2020年3・6月号

詰パラ2020年3月号 春霞賞候補作紹介

■短期大学12 若島 正氏作
◇別の筋の5か所の桂中合を防ぐ最遠打


61銀成、同玉、69香71玉、84桂、76角合、同香、73銀、
93角、同歩、62角、61玉、73角成、52玉、43銀、同金、
63香成、42玉、51馬、同玉、43桂生、42玉、33金、41玉、
32金 まで25手詰

馬屋原剛-斬新な構想でとても面白いと感じた。別展開も作れそうで、構想作家の創作意欲を沸き立たせる。
久保紀貴-(一部で議論があったが)個人的には新しく、また面白いと感じた。そして何よりこれだけの構想をこれほどシンプルに仕上げた作者の技術には脱帽せざるをえない。
太刀岡甫-後の合駒を見越した限定打。それだけでも珍しいが、紛れを5ヶ所の同じ原理の中合で割り切ることにより、従来の機構にはなかった部分を抽出し、盤上で新しさを主張した(桂は4枚しかない)。香の王手を3段階にする発展がありそう。
會場健大-隣のラインの合駒に関係している最遠打。変化に備えたもので、作意ではその筋が登場しないのも不思議な印象を残していていい。

※3手目69香の最遠打が注目の一手。もし68香なら6手目76桂合とされ、以下62角~53角成には68桂成で、歩が1枚足りず詰みません。同様に、67香には75桂合、66香なら74桂合といった具合に、桂の利きが直接香に当たると逃れる仕掛け。常に新たな地平を目指す作者が掘り当てた、新機軸の中合原理です。


■デパート3 大崎壮太郎氏作
◇龍先竜香×取歩駒消去


34と、同玉、25と、33玉、47銀、38歩合、同龍、37馬
同龍、35歩合、同龍、43玉、34龍、54玉、43龍、同桂、
55歩、45玉、34角、44玉、45歩、33玉、23角成、同玉、
14と まで25手詰

馬屋原剛-歩合からの馬移動中合が渾身の受け。色々な受けがある中でこれが最善とはにわかには信じがたい。力のこもった一局。
久保紀貴-メインは龍先龍香と取歩駒(馬)消去の組み合わせだが、38歩合と36歩合が絶妙のスパイス。特に38歩合は39/38/37馬を幻影として強調している…ような気がする。 「気がする」というのは、どうも言葉を尽くしても本作の持つ面白さをうまく説明できないのだ。打歩詰ルールが生み出す不条理に慣れ親しんだ現在にあっても、まだまだ論理と感覚の間には乖離があることを教えてくれる妙作。
太刀岡甫-馬を龍で取らせるにはどうしたらいいか。2つの条件を達成するため2段階の中合が必要になる。手順を見て説明を受けても不思議に感じるくらい新しい。
會場健大-怪作。竜を残すことと馬の利きを消すことが必要、という理屈だけ取り出せばシンプルなのだが、それをこれだけ直観に反するような手順に演出したのはすばらしい。

※5手目47銀に対する受け方が難物ですが、38歩合が妙防。同香なら同馬、同龍、35歩合、同龍以下、55歩が打歩詰となって逃れ。そこで攻方も38同龍と取り、龍を消そうとしますが、「37馬移動合~35歩合」が更にその上を行く妙防。28馬を消し、龍を35へ呼ぶことで、打歩詰に持ち込むことに成功しています。
一連の受けの妙手が極めて印象的な力作です。



詰パラ2020年6月号 春霞賞候補作紹介

■同人室8 三輪勝昭氏作
◇連続打ち替え


34
23玉、33歩成、同玉、34飛43玉、33飛成、同玉、
34歩43玉、44歩、同玉、64龍、43玉、54角、34玉、
32角成、25玉、14馬、同角、34龍、同玉、24金 まで23

馬屋原剛-打ち替えている間に邪魔駒が消えていく。特に飛から歩で打ち替える手順がよく成立したものだ。打ち替えもまだまだ色々なことができると感じた。
久保紀貴-一手一手を繙けばそこにあるロジックは明確なのだが、繋げてみると何をやっているのかわからなくなる面白さ。得難い妙味と思う。
太刀岡甫-打ち替えを連続で行う作自体はないわけではないが、元の駒に戻すのは驚いた。高価な飛を使っているし、打歩も絡めていてかなり高度なことをやっている。
會場健大-邪魔駒消去ふたつのあと、34の駒を打ち換える手続きが入って独特の感触になった。

※まず初手34飛と打ってみましょう。23玉は簡単に詰むので、43玉。打歩詰の局面です。そこで33飛成~34歩と打ち換えると、再び43玉。一見、飛車を何の代償もなく捨てただけに見えますが、43桂が消えているため、34歩に23玉なら53龍以下の詰みが生じています。つまり、34飛~33飛成で43桂を消去したのは、34歩に対し43玉を強要するためでした。
今度は44歩が打てるので、同玉に64龍以下収束……と思いきや、32角成に25玉で後が続きません。しかし、この時23桂がなければ14馬以下。そこで初手に戻って34歩と打ち、23桂を取らせてから33歩成~34飛と打ち換えるのが正解となります。
派手さはなくても、見る者の知性を刺激せずにはおかない、不思議な引力を持った作品です。


■創棋会1 中村宜幹氏作
◇飛銀の3/4回転翻弄


55金、同銀45金、同飛64金、同銀65銀、同飛
53飛、同銀、63角、同飛55金 まで13

馬屋原剛-単純明快だがすごく高度なことを成し遂げている。無数のと金も作者の執念を感じ、逆に清々しい。
久保紀貴-そもそも2枚を翻弄する作品はかなり珍しいはず(パッと思いつくのは上田さんの名作くらい)。本作はさらに駒の軌跡にもこだわって作られており、作者のやってやろうという意思が感じられる。
太刀岡甫-翻弄の軌跡は最近注目のテーマの1つ。似たような位置で2枚同時に翻弄するのは非常に高度であり、文句なしに新しい。駒をたくさん置くと構想っぽく見えるのでオススメです。
會場健大-銀飛銀飛と連れていく新しい翻弄ものでおもしろい。ただ、主役の駒が目立たなくなる初形は演出としてやはり惜しい。

※作意だけ見れば単純明快ですが、銀と飛車の2枚をセットで操縦するのは、並大抵のことではないはず。初形に難はあるものの、それも含めて作者の意欲の表れと言えるでしょう。


<参考図>
詰パラ 1975年2月号 上田吉一氏作  「極光」第18番




※まさに不朽の名作。本作を始めとした不規則趣向の分野を開拓したのは、作者の大きな功績です。

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2020年10月 4日 (日)

No.225 春霞賞候補作紹介 2020年2・5月号

2020年2月号と5月号の春霞賞候補作をご紹介します。


詰パラ2020年2月号

■短大8 太刀岡甫氏作      
◇ダブルスイッチバック


5733玉、44と、同玉、54と、同玉、64飛、53玉、
7542玉、15角、43玉、53香成、同玉、14飛63玉、
6453玉、42角成、同玉、63飛成 まで21手詰

太刀岡甫-詰上りに加担する2枚の大駒を共にスイッチバックするのが狙い。力技の表現だが、一応捨駒で繋いでいる。
馬屋原剛-飛車のスイッチバックから作り始めて角のスイッチバックまで逆算したと思われるが、無理なく逆算されてるのが巧い。
久保紀貴-大きな動きでダブルスイッチバックを表現。目に訴える力がある。
會場健大-やりたい放題の派手な応酬。メインのスイッチバックふたつを強調する作りとは少し違うので、構想の色は薄いが、個人的に好きな作。

※大駒が縦横に飛び交う、ダイナミックな逸品。理屈抜きで楽しめます。
序は逆算と見当が付くので、構想作としては弱いものの、逆算によって新たな主張を加えるのも、立派な構想と言えます。



詰パラ2020年5月号


■中学校23 渡辺直史氏作
◇香の成らせ


57桂、同香成56銀、同成香55飛、同成香54角、同成香
56金 まで9手詰

馬屋原剛-不勉強ながら、3マス戻す香の成らせが今までなかったことを知らなかった。戻すマスが離れるほど創作難度は上がっていくが、無理なく無駄なく仕上がっている。
久保紀貴-短コンで7手の香成らせをやった翌年、9手でもやってみようと考えたが存外に難しく完成させられなかった記憶がある。本作は非常に少ない枚数でできており驚いた。
太刀岡甫-従来の成らせを1マス増やした作。難度が跳ね上がっているうえ、最短手順、完全限定で配置も少なく完璧である。
會場健大-対比が明快な春霞賞らしい作。配置は仰々しいがギリギリいっぱいという感じ。私も3マス戻しの前例がないというのは知らなかった。作者の目の付けどころはすばらしく、要注目。

※久保さんのコメントにある「短コンで7手の香成らせ」を表現したのが参考図①。この作品は歴史的な「衝突」事件を起こしているので、ご記憶の方も多いかもしれません。(衝突の相手が参考図②)
香を2マス戻すには盤面5枚で済むのに、3マスになると盤面12枚必要になる。それだけ難易度の高い狙いであり、むしろ良くこの駒数で収めたというべきでしょう。しかもオール捨駒、駒取り無しで最短手数と、妥協のない創作姿勢には感服の他ありません。



<参考図①>


■詰パラ2015年12月号 久保紀貴氏作
◇香の成らせ


28金、同香成27金、同成香26銀、同成香28金 まで7手詰



<参考図②>

■詰パラ2015年12月号 深和敬斗氏作
◇香の成らせ


28金、同香成27金、同成香26銀、同成香28金 まで7手詰

 

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2020年8月10日 (月)

No.221 春霞賞候補作紹介 2020年4月号

詰パラ20204月号の春霞賞候補作を紹介いたします。

■デパート2 馬屋原剛氏作
◇局面対比 <一歩後退>


16馬、25歩合、同馬、44玉、88馬、54玉、55歩、44玉、
26馬、43玉、87馬 まで11手詰

馬屋原剛-デパート担当長谷川さんから出された課題。持駒も含めて差異がないようにする条件だったので創作難度は高かった。最初に出来たのは龍を使った手順だったが、花駒が多かったので馬を使うことにした。それでも配置の多さが嫌われると思ったが、テーマの面白さを純粋に評価してもらえてよかった。
太刀岡甫-初形から歩が1つ下がった形が詰上りという、不思議な作品。持駒を揃えるため歩を合駒で入手する点にこだわりが感じられる。見たことのないテーマに果敢に挑んだ意欲作。
久保紀貴-「持駒も同じ」というところまで拘ったのが、良くも悪くも作者らしい。こういう詰将棋のジャンルがあってもいいと思う。
會場健大-デパートらしい発想で嬉しくなる作。不利感の演出のようなものはあまりないが、微小変化ものの上位にくる作品と思う。

(デパートの解説から抜粋して転載)
☆本作は、「詰上り図が初形から歩が1枚後退しているだけ」という狙いの作品。私がもともと挑戦していたがうまく出来ず、馬屋原氏に話したところ見事に実現していただいた。
☆持駒含めての差異のため、必然的に持駒はなし。そのためどこかで1歩入手する必要があり、その辺りの制御が非常に難しい。
☆ちなみに短手数に拘らなければ趣向風味の手順で表現も可能とは思う。本作は構想部分のみを抽出し最短でまとめており、純度が高い。現代詰将棋のトレンドなのかも知れない。(解説=長谷川大地)

※デパート担当長谷川氏からのミッションに応えた課題創作。
「持駒も含めて」というのがミソで、この制約があるために格段に創作のハードルが高くなっており、馬屋原氏といえどもこの課題をクリアするには、盤面24枚の駒を配置せざるを得ませんでした。
それでもこの難問に挑戦し、最短(と思われる)手数で鮮やかに解を示したのは、天晴れという他なし。
本作に続く意欲作の登場にも期待したいところです。

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2020年3月31日 (火)

No219 春霞賞候補作紹介 2019年12月号

詰パラ201912月号の春霞賞候補作を紹介します。

■創棋会3 大崎壮太郎氏作
◇不利逃避のための捨合


44飛引成、26玉、35龍、同玉、44角、36玉、34飛、35桂合
同飛、26玉15飛、36玉、35飛、47玉、39桂、同歩成、
38角、同と、48歩、同と、56銀、46玉、47歩、同と、
55銀 まで25手詰

會場健大-玉の身のかわしだけでなく、合駒で駒の経路を変えさせることで取らせを実現するというのは新構想。その前に馬の利きを通す序もうまく決まっている。
馬屋原剛-①飛車捨てによって48へ利きを通す ②不利逃避によって、48への利きをなくす ③不利逃避で入手した駒で再び48へ利かす といった48への利きを巡るストーリーが素晴らしい。構想作として理想的な構成となっている。
久保紀貴-不利逃避のために桂まで渡す主眼部分はもちろんだが、それが一貫したストーリーの中に配されている点を評価したい。 「馬の利きを通して打歩詰を解消しようとしたら、その馬を渡すための桂合+不利逃避で受けられた。そこで、もらった角桂で歩を成らせて再び打歩詰を解消する」という構成がお見事。
太刀岡甫-桂捨合の効果は26を開けることしかないので、純粋に不利逃避のための合駒といえる。構想がわかりやすい作りなのが嬉しい。不利逃避を目的にするというのは新しく、さらなる発展の可能性も秘めていそう。主眼の前に馬筋を通すための26歩消去を入れたのも理想的な序。収束も過不足なく決まっている。


※不利逃避で角を消去するために捨合をする。つまり、角を渡すために桂まで差し出しながら、それでもバランスが取れているのは、作者の選んだ構図の優秀さを示しています。
完成度の高い逸品です。

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2020年3月 2日 (月)

No. 217 春霞賞候補作紹介 2019年11月号

2019年11月号の春霞賞候補作をご紹介します。

■大学院10 田島秀男氏作     
◇馬筋遮蔽駒スイッチ型複式馬鋸


19飛、28玉、55角、46香合、同角、同成桂』=『A』
19飛、28玉、55角、46香合、同角、同と』=『A’』
29飛右、17玉、19香、18角合』 =『B』
18香、同玉、19飛、28玉、29飛左、38玉、
65角、47香合、同角、同成桂、39飛、28玉、
29飛右、17玉、19香、18角合、同香、同玉』=『C』
18香、同玉、19飛、28玉、29飛左、38玉、
65角、47香合、同角、同と、39飛、28玉、
29飛右、17玉、19香、18角合、同香、同玉』=『C’』
39飛、28玉、29飛右、17玉、19香、18角合、
同香、同玉』=『D』 とする

<作意>
39飛、28玉、29飛打、18玉、19飛、28玉、29飛左、38玉、
37と、同成桂、56角、47香合、同角、同成桂、39飛、28玉、
29飛右、17玉、19香、18角合、同香、同玉、73金36と、
19飛、28玉、55角、46香合、同角、同成桂、29飛右、17玉、
19香、18角合、71馬、35と、18香、同玉、19飛、28玉、
29飛左、38玉、65角、47香合、同角、同成桂、39飛、28玉、
29飛右、17玉、19香、18角合、同香、同玉、
72馬、36と、 『A』『B』62馬、35と、『C』
63馬、36と、 『A』『B』53馬、35と、『C』
54馬、36と、 『A』29飛左、38玉、65馬、47と、 『D』
54馬、36成桂、『A’』『B』53馬、35成桂、『C’』
63馬、36成桂、『A’』29飛左、38玉、74馬、47成桂、『D』
63馬、36と、 『A』『B』53馬、35と、『C』
54馬、36と、 『A』29飛左、38玉、65馬、47と、 『D』
54馬、36成桂、『A’』『B』53馬、35成桂、『C’』
63馬、36成桂、『A’』『B』62馬、35成桂、『C’』
72馬、36成桂、『A’』29飛左、38玉、83馬、47成桂、『D』
72馬、36と、 『A』『B』62馬、35と、『C』
63馬、36と、 『A』『B』53馬、35と、『C』
54馬、36と、 『A』29飛左、38玉、65馬、47と、 『D』
54馬、36成桂、『A’』『B』53馬、35成桂、『C’』
63馬、36成桂、『A』『B』62馬、35成桂、『C’』
72馬、36成桂、『A’』『B』71馬、35成桂、『C’』
81馬、36成桂、『A’』29飛左、38玉、92馬、47成桂、『D』
81馬、36と、 『A』『B』71馬、35と、『C』
72馬、36と、 『A』『B』62馬、35と、『C』
63馬、36と、 『A』『B』53馬、35と、『C』
54馬、36と、 『A』29飛左、38玉、65馬、47と、 『D』
54馬、36成桂、『A’』『B』53馬、35成桂、『C’』
63馬、36成桂、『A’』『B』62馬、35成桂、『C’』
72馬、36成桂、『A’』29飛左、38玉、
83馬、47成桂、39香、49玉、94馬、同金、
34香、58玉、59飛、67玉、66金、77玉、
78香、同玉、79飛、87玉、88歩、97玉、
98歩、同玉、99飛、88玉、89飛左、97玉、
98歩、同玉、99香 まで743手詰

太刀岡甫-と金と成桂の位置関係という非常にシンプルな仕掛けで馬鋸の往復を成立させ、700手超えの長手数を実現した作。成駒を入れ替えるのは局面の微小変化ということができ、その構図が新しければ構想作と言ってよいでしょう。
ただ、構想というよりも長手数化に重きが置かれているのは還元型無駄合利用からも明らかだと思います。
會場健大-遮蔽駒のスイッチでこんなに手数が延びるとは!  二枚飛車と馬ノコの組み合わせ自体はよく目にするだけに、こんな発展の可能性があったのかと本当に驚いた作品で、長編作品として心からの賛辞を惜しまない。
ただし、選ぶ側の問題として、すごい作品だからとノミネートさせていくだけでは看寿賞と変わらなくなってしまうという指摘には向き合わねばならない。
久保紀貴-1枚剥がすたびに馬を引きつけ、成駒の位置を変えさせる必要がある点に新鮮味を感じる。
馬屋原剛-剥がすたびに一旦馬を近づける必要がある構成はi'll be backと似ているが、1サイクルの趣向手順や、成駒の位置変換の仕組みは遥かに複雑かつ巧妙に造られている。馬ノコによる成駒の位置変換は、同作者のキューブを彷彿とさせるが、キューブに比べるとまだ理解の及ぶ範囲か。成駒の位置変換は今後の超長編のトレンドになるかもしれない。そんな可能性を感じさせる一局。
構想作かどうかは疑問だが傑作であることは間違いない。

※局面還元型無駄合を含む本作。この無駄合についてスタッフに聞いてみたところ、容認派もいれば条件付き容認派もいて、それぞれの解釈に微妙な温度差があるように感じました。ただ、出題時に無駄合が含まれる旨明記すべきという点では、皆概ね一致していました。
面白かったのは「フェアリーに半歩入った感じ」という回答で、言い得て妙なりと感心した次第。
結局、10人いれば10通りの考え方があるからこそ、無駄合論議も規約問題も果てがないのでしょうね。


<参考図>
近代将棋  199612月号 
河原泰之氏作  「I'll be back


38と左、49玉、48と左、59玉、
58と左、69玉、68と左、79玉』=『A』
78と右、69玉、68と右、59玉、
58と右、49玉、48と右、39玉』=『B』とする

<作意>
79金、同玉、78と引、69玉、68と右、59玉、58と右、49玉、
48と右、39玉、29金、同玉、28と引、39玉、38と右、29玉、
21龍、26と、28と左、39玉、32龍、36と、38と右、29玉、
23龍、26と、28と左、39玉、34龍、36と、38と右、29玉、
25龍、26と、28と左、39玉、『A』
75龍、76と、78と左、89玉、85龍、86と、88と右、79玉、
『B』
35龍、36と、38と右、29玉、24龍、26と、28と左、39玉、
33龍、36と、『A』
73龍、76と、『B』38と右、29玉、
23龍、26と、28と左、39玉、34龍、36と、38と右、29玉、
25龍、26と、28と左、39玉、『A』78と左、89玉、
85龍、86と、88と右、79玉、『B』
35龍、36と、38と右、29玉、24龍、26と、28と左、39玉、
33龍、36と、38と右、29玉、22龍、26と、28と左、39玉、
『A』
72龍、76と、『B』
32龍、36と、38と右、29玉、23龍、26と、28と左、39玉、
34龍、36と、38と右、29玉、25龍、26と、28と左、39玉、
『A』78と左、89玉、
85龍、86と、88と右、79玉、『B』
35龍、36と、38と右、29玉、24龍、26と、28と左、39玉、
33龍、36と、38と右、29玉、22龍、26と、28と左、39玉、
31龍、36と、『A』
71龍、76と、『B』38と右、29玉、
21龍、26と、28と左、39玉、32龍、36と、38と右、29玉、
23龍、26と、28と左、39玉、34龍、36と、38と右、29玉、
25龍、26と、28と左、39玉、『A』78と左、89玉、
85龍、86と、79と、98玉、87銀、同と、同龍、同玉、
88と、76玉、77と左、65玉、66と、64玉、75と、63玉、
53銀成、同玉、45桂、52玉、62角成、同玉、44角、52玉、
53桂成、51玉、33角成、61玉、43馬、72玉、64桂、81玉、
54馬、同飛、82歩、同玉、83歩、81玉、82香、71玉、
72歩、61玉、52桂成、72玉、62成桂寄、73玉、63成桂引
 まで311手詰

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2020年2月 3日 (月)

No.215 春霞賞候補作紹介 2019年10月号

詰パラ201910月号の春霞賞候補作をご紹介します。

■高等学校20 有吉弘敏氏作     
◇同一駒による3度の移動中合


76桂、65角64銀、54玉、59飛、56角55銀打、45玉、
49飛、47角成46銀打、56玉、34馬、65玉、69飛、同馬、
57桂 まで17手詰

會場健大-同一角での移動中合3回はインパクト大。2手ずつ逆算して得られそうにない手順という意味では構想してまとめた作品と呼べると思う。原理は比較的単純なのもうれしい。
久保紀貴-構想というよりは趣向といった感じですが、傑作には違いないですね。最後に飛がスイッチバックで消えるところも気に入りました。
太刀岡甫-移動中合を趣向的に繰り返す作。このような手順は見たことがないので構想と言っていいと思います。さらに収束でスイッチバックの飛捨てが入るのが良く、これにより成限定になっているのも巧すぎる構成です。
馬屋原剛角の移動中合3回はインパクト大ですね。規則的な趣向ですが、仕組みは単純ではなく、絶妙な空間処理によって支えられていると感じました。


■大学院7 馬屋原剛氏作  「円環の理」    
◇成駒変換


35歩、45玉、23馬、34歩合、同歩、56玉、33歩成、57玉、
13馬、67玉、68飛、76玉、78飛、86玉、88飛、95玉』
『A』とする

23角成、57玉、13馬、67玉、68飛、76玉、78飛、86玉、
88飛、95玉、94と、同玉、93と、84玉、83と右、74玉、
73と右、64玉、63と右、54玉、53と右、44玉、43金34玉、『A』
94と、同玉、93と、84玉、83と右、74玉、73と右、64玉、
63と右、54玉、5344玉、43と、34玉、『A』
94と、同玉、93と、84玉、83と右、74玉、73と右、64玉、
63金54玉、53と、44玉、43と右、34玉、『A』
94と、同玉、93と、84玉、83と右、74玉、73金64玉、
63と、54玉、53と右、44玉、43と右、34玉、『A』
94と、同玉、93と、84玉、83金74玉、73と、64玉、
63と右、54玉、53と右、44玉、43と右、34玉、『A』、
94と、同玉、93金84玉、83と、74玉、73と右、64玉、
63と右、54玉、53と右、44玉、43と右、34玉、『A』
94、同玉、93と、84玉、83と右、74玉、73と右、64玉、
63と右、54玉、53と右、44玉、43と右、34玉、35歩、45玉、
23馬、46玉、36と、同玉、47金、26玉、27と、同玉、
45馬、26玉、36馬 まで217手詰

馬屋原剛構想として取り上げていただいたのが意外でした。富沢作や、やよい作と本質的には同じで、回数を増やしただけと思っています。
會場健大-作者自認のとおり新構想というわけでもないが、本人がちょっとした工夫と思っていることがジャンプアップということは多々あるもので、歩を使って実現したのはやはり偉い。
太刀岡甫-駒の性能は全く変わらず、文字だけが微妙に動いていく。歩を使えば回数を増やせると思いついたとしても、33歩成を実現する構図は相当難度の高い創作であったはず。長手数化に加え、大量のと⇔1枚の金の対比がよりクリアになったように思います。
久保紀貴-こちらも趣向テイストですが、趣向の目的が「歩ではなく金を渡す」ところにあるのが構想チックです。桂でやった前例があるのは辛いところですが、なぜか本作の表現の方が構想味を感じました。歩と金だと性能差が明確だからでしょうか?
安武利太-「円環の理」についてご本人は、「構想作に分類されるのが意外」なんですね。私はikironさんの言う通り、「歩ではなく金を渡す」という点がポイントだと思います。玉方の持駒に注目してみると、他の参考図では複数の種類の持駒があり、合駒の選択が可能ですが、「円環の理」では持駒は歩1枚のみ。それを200手近く掛けて、金に変換したことになります。桂や香を品切れにするというより、(形のうえでは)持駒変換と言って良いような…
馬屋原剛-円環の理と、それ以外が別構造かどうかは、昔久保さんたちと議論しましたが、結局円環の理は合駒制限しているから特殊に見えるだけで、本質的には変わらないという結論に至りました。他の参考図をあえて合駒制限してみると、同じ構造に見えるはず。


<参考図>

詰将棋半世紀第18番 柏川悦夫氏作


84角、94玉、86桂、同桂、93角成、同玉、92と、94玉、
95歩、同玉、86金上、94玉、95金、同玉、68馬、94玉、
54龍、74桂合86桂、95玉、74桂、94玉、93と、同玉、
92金、94玉、82桂成、74桂合86桂、95玉、74桂、94玉、
93金、同玉、92成桂、94玉、82桂成、74桂合86桂、95玉、
74桂、94玉、62桂成、54と、86桂、95玉、74桂、94玉、
93成桂、同玉、57馬、94玉、84馬 まで53手詰


<参考図>

詰パラ20025月号 富沢岳史氏作


35飛、66玉、36飛、75玉、74と、同玉、73と右、64玉、
63と右、54玉、右、44玉、34飛、45玉、35飛、44玉、
46香、45香合、同香、55玉、香成、66玉、36飛、75玉、
74と、同玉、73と右、64玉、63と右、54玉、成香、44玉、
34飛、45玉、35飛、44玉、46香、45香合、同香、55玉、
43香成、66玉、36飛、75玉、74と、同玉、73と右、64玉、
63成香、54玉、53成香右、44玉、34飛、45玉、35飛、44玉、
46香、45香合、同香、55玉、43香成、66玉、36飛、75玉、
74と、同玉、73成香、64玉、63成香右、54玉、53成香右、44玉、
34飛、45玉、35飛、44玉、46香、45歩合34飛、55玉、
54飛、66玉、56飛、77玉、68銀、88玉、79金、98玉、
88飛、97玉、98飛、同玉、96飛、同と、88金打、99玉、
89金寄 まで97手詰 


<参考図>

詰パラ201610月号 やよい氏作 


48馬、56玉、57馬、65玉、66馬、74玉、73成桂、64玉、
74成桂、同玉、41馬、64玉、63成桂、54玉、53成桂右、44玉、
43金、34玉、33金右、25玉』=『A』、
37桂、36玉、14馬、25桂合、同桂、47玉、『A』
37桂、36玉、14馬、25桂合、同桂、47玉、『A』
37桂、36玉、14馬、25桂合、同桂、47玉、『A』
37桂、36玉、14馬、25歩合、同桂、47玉、『A』
26金、同玉、48馬、17玉、27飛、18玉、19歩、27玉、
37馬、17玉、18歩、同玉、28馬 まで137手詰

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