春霞賞

2020年8月10日 (月)

No.221 春霞賞候補作紹介 2020年4月号

詰パラ20204月号の春霞賞候補作を紹介いたします。

■デパート2 馬屋原剛氏作
◇局面対比 <一歩後退>


16馬、25歩合、同馬、44玉、88馬、54玉、55歩、44玉、
26馬、43玉、87馬 まで11手詰

馬屋原剛-デパート担当長谷川さんから出された課題。持駒も含めて差異がないようにする条件だったので創作難度は高かった。最初に出来たのは龍を使った手順だったが、花駒が多かったので馬を使うことにした。それでも配置の多さが嫌われると思ったが、テーマの面白さを純粋に評価してもらえてよかった。
太刀岡甫-初形から歩が1つ下がった形が詰上りという、不思議な作品。持駒を揃えるため歩を合駒で入手する点にこだわりが感じられる。見たことのないテーマに果敢に挑んだ意欲作。
久保紀貴-「持駒も同じ」というところまで拘ったのが、良くも悪くも作者らしい。こういう詰将棋のジャンルがあってもいいと思う。
會場健大-デパートらしい発想で嬉しくなる作。不利感の演出のようなものはあまりないが、微小変化ものの上位にくる作品と思う。

(デパートの解説から抜粋して転載)
☆本作は、「詰上り図が初形から歩が1枚後退しているだけ」という狙いの作品。私がもともと挑戦していたがうまく出来ず、馬屋原氏に話したところ見事に実現していただいた。
☆持駒含めての差異のため、必然的に持駒はなし。そのためどこかで1歩入手する必要があり、その辺りの制御が非常に難しい。
☆ちなみに短手数に拘らなければ趣向風味の手順で表現も可能とは思う。本作は構想部分のみを抽出し最短でまとめており、純度が高い。現代詰将棋のトレンドなのかも知れない。(解説=長谷川大地)

※デパート担当長谷川氏からのミッションに応えた課題創作。
「持駒も含めて」というのがミソで、この制約があるために格段に創作のハードルが高くなっており、馬屋原氏といえどもこの課題をクリアするには、盤面24枚の駒を配置せざるを得ませんでした。
それでもこの難問に挑戦し、最短(と思われる)手数で鮮やかに解を示したのは、天晴れという他なし。
本作に続く意欲作の登場にも期待したいところです。

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2020年3月31日 (火)

No219 春霞賞候補作紹介 2019年12月号

詰パラ201912月号の春霞賞候補作を紹介します。

■創棋会3 大崎壮太郎氏作
◇不利逃避のための捨合


44飛引成、26玉、35龍、同玉、44角、36玉、34飛、35桂合
同飛、26玉15飛、36玉、35飛、47玉、39桂、同歩成、
38角、同と、48歩、同と、56銀、46玉、47歩、同と、
55銀 まで25手詰

會場健大-玉の身のかわしだけでなく、合駒で駒の経路を変えさせることで取らせを実現するというのは新構想。その前に馬の利きを通す序もうまく決まっている。
馬屋原剛-①飛車捨てによって48へ利きを通す ②不利逃避によって、48への利きをなくす ③不利逃避で入手した駒で再び48へ利かす といった48への利きを巡るストーリーが素晴らしい。構想作として理想的な構成となっている。
久保紀貴-不利逃避のために桂まで渡す主眼部分はもちろんだが、それが一貫したストーリーの中に配されている点を評価したい。 「馬の利きを通して打歩詰を解消しようとしたら、その馬を渡すための桂合+不利逃避で受けられた。そこで、もらった角桂で歩を成らせて再び打歩詰を解消する」という構成がお見事。
太刀岡甫-桂捨合の効果は26を開けることしかないので、純粋に不利逃避のための合駒といえる。構想がわかりやすい作りなのが嬉しい。不利逃避を目的にするというのは新しく、さらなる発展の可能性も秘めていそう。主眼の前に馬筋を通すための26歩消去を入れたのも理想的な序。収束も過不足なく決まっている。


※不利逃避で角を消去するために捨合をする。つまり、角を渡すために桂まで差し出しながら、それでもバランスが取れているのは、作者の選んだ構図の優秀さを示しています。
完成度の高い逸品です。

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2020年3月 2日 (月)

No. 217 春霞賞候補作紹介 2019年11月号

2019年11月号の春霞賞候補作をご紹介します。

■大学院10 田島秀男氏作     
◇馬筋遮蔽駒スイッチ型複式馬鋸


19飛、28玉、55角、46香合、同角、同成桂』=『A』
19飛、28玉、55角、46香合、同角、同と』=『A’』
29飛右、17玉、19香、18角合』 =『B』
18香、同玉、19飛、28玉、29飛左、38玉、
65角、47香合、同角、同成桂、39飛、28玉、
29飛右、17玉、19香、18角合、同香、同玉』=『C』
18香、同玉、19飛、28玉、29飛左、38玉、
65角、47香合、同角、同と、39飛、28玉、
29飛右、17玉、19香、18角合、同香、同玉』=『C’』
39飛、28玉、29飛右、17玉、19香、18角合、
同香、同玉』=『D』 とする

<作意>
39飛、28玉、29飛打、18玉、19飛、28玉、29飛左、38玉、
37と、同成桂、56角、47香合、同角、同成桂、39飛、28玉、
29飛右、17玉、19香、18角合、同香、同玉、73金36と、
19飛、28玉、55角、46香合、同角、同成桂、29飛右、17玉、
19香、18角合、71馬、35と、18香、同玉、19飛、28玉、
29飛左、38玉、65角、47香合、同角、同成桂、39飛、28玉、
29飛右、17玉、19香、18角合、同香、同玉、
72馬、36と、 『A』『B』62馬、35と、『C』
63馬、36と、 『A』『B』53馬、35と、『C』
54馬、36と、 『A』29飛左、38玉、65馬、47と、 『D』
54馬、36成桂、『A’』『B』53馬、35成桂、『C’』
63馬、36成桂、『A’』29飛左、38玉、74馬、47成桂、『D』
63馬、36と、 『A』『B』53馬、35と、『C』
54馬、36と、 『A』29飛左、38玉、65馬、47と、 『D』
54馬、36成桂、『A’』『B』53馬、35成桂、『C’』
63馬、36成桂、『A’』『B』62馬、35成桂、『C’』
72馬、36成桂、『A’』29飛左、38玉、83馬、47成桂、『D』
72馬、36と、 『A』『B』62馬、35と、『C』
63馬、36と、 『A』『B』53馬、35と、『C』
54馬、36と、 『A』29飛左、38玉、65馬、47と、 『D』
54馬、36成桂、『A’』『B』53馬、35成桂、『C’』
63馬、36成桂、『A』『B』62馬、35成桂、『C’』
72馬、36成桂、『A’』『B』71馬、35成桂、『C’』
81馬、36成桂、『A’』29飛左、38玉、92馬、47成桂、『D』
81馬、36と、 『A』『B』71馬、35と、『C』
72馬、36と、 『A』『B』62馬、35と、『C』
63馬、36と、 『A』『B』53馬、35と、『C』
54馬、36と、 『A』29飛左、38玉、65馬、47と、 『D』
54馬、36成桂、『A’』『B』53馬、35成桂、『C’』
63馬、36成桂、『A’』『B』62馬、35成桂、『C’』
72馬、36成桂、『A’』29飛左、38玉、
83馬、47成桂、39香、49玉、94馬、同金、
34香、58玉、59飛、67玉、66金、77玉、
78香、同玉、79飛、87玉、88歩、97玉、
98歩、同玉、99飛、88玉、89飛左、97玉、
98歩、同玉、99香 まで743手詰

太刀岡甫-と金と成桂の位置関係という非常にシンプルな仕掛けで馬鋸の往復を成立させ、700手超えの長手数を実現した作。成駒を入れ替えるのは局面の微小変化ということができ、その構図が新しければ構想作と言ってよいでしょう。
ただ、構想というよりも長手数化に重きが置かれているのは還元型無駄合利用からも明らかだと思います。
會場健大-遮蔽駒のスイッチでこんなに手数が延びるとは!  二枚飛車と馬ノコの組み合わせ自体はよく目にするだけに、こんな発展の可能性があったのかと本当に驚いた作品で、長編作品として心からの賛辞を惜しまない。
ただし、選ぶ側の問題として、すごい作品だからとノミネートさせていくだけでは看寿賞と変わらなくなってしまうという指摘には向き合わねばならない。
久保紀貴-1枚剥がすたびに馬を引きつけ、成駒の位置を変えさせる必要がある点に新鮮味を感じる。
馬屋原剛-剥がすたびに一旦馬を近づける必要がある構成はi'll be backと似ているが、1サイクルの趣向手順や、成駒の位置変換の仕組みは遥かに複雑かつ巧妙に造られている。馬ノコによる成駒の位置変換は、同作者のキューブを彷彿とさせるが、キューブに比べるとまだ理解の及ぶ範囲か。成駒の位置変換は今後の超長編のトレンドになるかもしれない。そんな可能性を感じさせる一局。
構想作かどうかは疑問だが傑作であることは間違いない。

※局面還元型無駄合を含む本作。この無駄合についてスタッフに聞いてみたところ、容認派もいれば条件付き容認派もいて、それぞれの解釈に微妙な温度差があるように感じました。ただ、出題時に無駄合が含まれる旨明記すべきという点では、皆概ね一致していました。
面白かったのは「フェアリーに半歩入った感じ」という回答で、言い得て妙なりと感心した次第。
結局、10人いれば10通りの考え方があるからこそ、無駄合論議も規約問題も果てがないのでしょうね。


<参考図>
近代将棋  199612月号 
河原泰之氏作  「I'll be back


38と左、49玉、48と左、59玉、
58と左、69玉、68と左、79玉』=『A』
78と右、69玉、68と右、59玉、
58と右、49玉、48と右、39玉』=『B』とする

<作意>
79金、同玉、78と引、69玉、68と右、59玉、58と右、49玉、
48と右、39玉、29金、同玉、28と引、39玉、38と右、29玉、
21龍、26と、28と左、39玉、32龍、36と、38と右、29玉、
23龍、26と、28と左、39玉、34龍、36と、38と右、29玉、
25龍、26と、28と左、39玉、『A』
75龍、76と、78と左、89玉、85龍、86と、88と右、79玉、
『B』
35龍、36と、38と右、29玉、24龍、26と、28と左、39玉、
33龍、36と、『A』
73龍、76と、『B』38と右、29玉、
23龍、26と、28と左、39玉、34龍、36と、38と右、29玉、
25龍、26と、28と左、39玉、『A』78と左、89玉、
85龍、86と、88と右、79玉、『B』
35龍、36と、38と右、29玉、24龍、26と、28と左、39玉、
33龍、36と、38と右、29玉、22龍、26と、28と左、39玉、
『A』
72龍、76と、『B』
32龍、36と、38と右、29玉、23龍、26と、28と左、39玉、
34龍、36と、38と右、29玉、25龍、26と、28と左、39玉、
『A』78と左、89玉、
85龍、86と、88と右、79玉、『B』
35龍、36と、38と右、29玉、24龍、26と、28と左、39玉、
33龍、36と、38と右、29玉、22龍、26と、28と左、39玉、
31龍、36と、『A』
71龍、76と、『B』38と右、29玉、
21龍、26と、28と左、39玉、32龍、36と、38と右、29玉、
23龍、26と、28と左、39玉、34龍、36と、38と右、29玉、
25龍、26と、28と左、39玉、『A』78と左、89玉、
85龍、86と、79と、98玉、87銀、同と、同龍、同玉、
88と、76玉、77と左、65玉、66と、64玉、75と、63玉、
53銀成、同玉、45桂、52玉、62角成、同玉、44角、52玉、
53桂成、51玉、33角成、61玉、43馬、72玉、64桂、81玉、
54馬、同飛、82歩、同玉、83歩、81玉、82香、71玉、
72歩、61玉、52桂成、72玉、62成桂寄、73玉、63成桂引
 まで311手詰

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2020年2月 3日 (月)

No.215 春霞賞候補作紹介 2019年10月号

詰パラ201910月号の春霞賞候補作をご紹介します。

■高等学校20 有吉弘敏氏作     
◇同一駒による3度の移動中合


76桂、65角64銀、54玉、59飛、56角55銀打、45玉、
49飛、47角成46銀打、56玉、34馬、65玉、69飛、同馬、
57桂 まで17手詰

會場健大-同一角での移動中合3回はインパクト大。2手ずつ逆算して得られそうにない手順という意味では構想してまとめた作品と呼べると思う。原理は比較的単純なのもうれしい。
久保紀貴-構想というよりは趣向といった感じですが、傑作には違いないですね。最後に飛がスイッチバックで消えるところも気に入りました。
太刀岡甫-移動中合を趣向的に繰り返す作。このような手順は見たことがないので構想と言っていいと思います。さらに収束でスイッチバックの飛捨てが入るのが良く、これにより成限定になっているのも巧すぎる構成です。
馬屋原剛角の移動中合3回はインパクト大ですね。規則的な趣向ですが、仕組みは単純ではなく、絶妙な空間処理によって支えられていると感じました。


■大学院7 馬屋原剛氏作  「円環の理」    
◇成駒変換


35歩、45玉、23馬、34歩合、同歩、56玉、33歩成、57玉、
13馬、67玉、68飛、76玉、78飛、86玉、88飛、95玉』
『A』とする

23角成、57玉、13馬、67玉、68飛、76玉、78飛、86玉、
88飛、95玉、94と、同玉、93と、84玉、83と右、74玉、
73と右、64玉、63と右、54玉、53と右、44玉、43金34玉、『A』
94と、同玉、93と、84玉、83と右、74玉、73と右、64玉、
63と右、54玉、5344玉、43と、34玉、『A』
94と、同玉、93と、84玉、83と右、74玉、73と右、64玉、
63金54玉、53と、44玉、43と右、34玉、『A』
94と、同玉、93と、84玉、83と右、74玉、73金64玉、
63と、54玉、53と右、44玉、43と右、34玉、『A』
94と、同玉、93と、84玉、83金74玉、73と、64玉、
63と右、54玉、53と右、44玉、43と右、34玉、『A』、
94と、同玉、93金84玉、83と、74玉、73と右、64玉、
63と右、54玉、53と右、44玉、43と右、34玉、『A』
94、同玉、93と、84玉、83と右、74玉、73と右、64玉、
63と右、54玉、53と右、44玉、43と右、34玉、35歩、45玉、
23馬、46玉、36と、同玉、47金、26玉、27と、同玉、
45馬、26玉、36馬 まで217手詰

馬屋原剛構想として取り上げていただいたのが意外でした。富沢作や、やよい作と本質的には同じで、回数を増やしただけと思っています。
會場健大-作者自認のとおり新構想というわけでもないが、本人がちょっとした工夫と思っていることがジャンプアップということは多々あるもので、歩を使って実現したのはやはり偉い。
太刀岡甫-駒の性能は全く変わらず、文字だけが微妙に動いていく。歩を使えば回数を増やせると思いついたとしても、33歩成を実現する構図は相当難度の高い創作であったはず。長手数化に加え、大量のと⇔1枚の金の対比がよりクリアになったように思います。
久保紀貴-こちらも趣向テイストですが、趣向の目的が「歩ではなく金を渡す」ところにあるのが構想チックです。桂でやった前例があるのは辛いところですが、なぜか本作の表現の方が構想味を感じました。歩と金だと性能差が明確だからでしょうか?
安武利太-「円環の理」についてご本人は、「構想作に分類されるのが意外」なんですね。私はikironさんの言う通り、「歩ではなく金を渡す」という点がポイントだと思います。玉方の持駒に注目してみると、他の参考図では複数の種類の持駒があり、合駒の選択が可能ですが、「円環の理」では持駒は歩1枚のみ。それを200手近く掛けて、金に変換したことになります。桂や香を品切れにするというより、(形のうえでは)持駒変換と言って良いような…
馬屋原剛-円環の理と、それ以外が別構造かどうかは、昔久保さんたちと議論しましたが、結局円環の理は合駒制限しているから特殊に見えるだけで、本質的には変わらないという結論に至りました。他の参考図をあえて合駒制限してみると、同じ構造に見えるはず。


<参考図>

詰将棋半世紀第18番 柏川悦夫氏作


84角、94玉、86桂、同桂、93角成、同玉、92と、94玉、
95歩、同玉、86金上、94玉、95金、同玉、68馬、94玉、
54龍、74桂合86桂、95玉、74桂、94玉、93と、同玉、
92金、94玉、82桂成、74桂合86桂、95玉、74桂、94玉、
93金、同玉、92成桂、94玉、82桂成、74桂合86桂、95玉、
74桂、94玉、62桂成、54と、86桂、95玉、74桂、94玉、
93成桂、同玉、57馬、94玉、84馬 まで53手詰


<参考図>

詰パラ20025月号 富沢岳史氏作


35飛、66玉、36飛、75玉、74と、同玉、73と右、64玉、
63と右、54玉、右、44玉、34飛、45玉、35飛、44玉、
46香、45香合、同香、55玉、香成、66玉、36飛、75玉、
74と、同玉、73と右、64玉、63と右、54玉、成香、44玉、
34飛、45玉、35飛、44玉、46香、45香合、同香、55玉、
43香成、66玉、36飛、75玉、74と、同玉、73と右、64玉、
63成香、54玉、53成香右、44玉、34飛、45玉、35飛、44玉、
46香、45香合、同香、55玉、43香成、66玉、36飛、75玉、
74と、同玉、73成香、64玉、63成香右、54玉、53成香右、44玉、
34飛、45玉、35飛、44玉、46香、45歩合34飛、55玉、
54飛、66玉、56飛、77玉、68銀、88玉、79金、98玉、
88飛、97玉、98飛、同玉、96飛、同と、88金打、99玉、
89金寄 まで97手詰 


<参考図>

詰パラ201610月号 やよい氏作 


48馬、56玉、57馬、65玉、66馬、74玉、73成桂、64玉、
74成桂、同玉、41馬、64玉、63成桂、54玉、53成桂右、44玉、
43金、34玉、33金右、25玉』=『A』、
37桂、36玉、14馬、25桂合、同桂、47玉、『A』
37桂、36玉、14馬、25桂合、同桂、47玉、『A』
37桂、36玉、14馬、25桂合、同桂、47玉、『A』
37桂、36玉、14馬、25歩合、同桂、47玉、『A』
26金、同玉、48馬、17玉、27飛、18玉、19歩、27玉、
37馬、17玉、18歩、同玉、28馬 まで137手詰

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2020年1月 8日 (水)

No.213 春霞賞候補作紹介 2019年9月号

新年明けましておめでとうございます!
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

では早速――
詰パラ20199月号 春霞賞候補作紹介

■中学校11 青木裕一氏作
2枚飛車の「連続限定打+連捨て」による邪魔駒消去



43
55玉、52飛46玉、55飛成、同玉、44飛成、同玉、
36桂 まで9手詰

太刀岡甫-飛車2枚消費して歩を原型消去し、1手で収束する。いずれも打ってから成り捨てるのは統一感があり、どちらも限定打となっているのが素晴らしい。
會場健大-すごい大模様だが表現としてはむしろシンプル。52飛を限定打にする変化で邪魔駒の46歩が生きているところにも機能美を感じる。
久保紀貴-限定打での表現と、収束を1手で纏めてある点が良いですね。大模様はやはり気になりますが、特別気になる配置があるわけではないので、これが最善なのかもしれません。
馬屋原剛「限定打を2連続で放ち、それをすぐさま捨て去り詰み上がる9手詰を作れ」という課題を与えられたとき、凡人は角で作ろうとするだろう。強力な2枚飛車が、ちっぽけな1歩の消去に見合う、この事実を発見した作者の勝利である。
久保-2枚で作る方がスマートにできそうですけどね。
馬屋原スマートなのは角でしょうね。しかし飛で作った青木作は迫力がある。
宮原君の順位戦の作品は角2枚で邪魔駒消去してましたっけ?いざない弓みたいなタイトルの。
久保-ありましたね、好きな作品です。
馬屋原宮原作、詳細は忘れましたけど、やってることはそんなに変わらないとは思います。
でも飛の方が派手でカッコいいじゃないですか。
久保-私は本質が大事だと思っているので、飛でも角でも香でも、同じことをやるならどれでも構わないんです。だから飛角香の選択まで可能性に含めた上でベストな構図をとりたい。
飛を角にするみたいなバリエーションで元の作品とは違う作品、つまり新作を作ることはできると思うんですが、それで違うこと(テーマ)をやっていることにはならないというのが持論です。
馬屋原まあ私も実際に作るとなったら、一番すんなり行きそうな角を選ぶかもしれません。
久保-ただ、青木さんの作品は最短での表現ということで、飛を角にする以上のことをやっているとは思います。
角にした方が配置を整理できそうだと思っただけで、テーマは宮原作とは異なると見るべきでしょうね。

<参考図>
詰パラ 20156月号 
A級順位戦 宮原 航氏作 「いざ綯い弓」



23角、44玉、34角成、同玉、12角、35玉、45角成、同玉、
25飛成、44玉、54飛、同玉、55龍 まで13手詰



■デパート4 大崎壮太郎氏作
◇角遠打+「アンチ禁遊手筋」の桂合



33桂成、同玉、25桂左、32玉、98角87桂合33桂成、同玉、
25桂、32玉、87角、同龍、39龍、37桂合、24桂、23玉、
41角、24玉、14角成、同玉、19龍、23玉、13龍、32玉、
33龍、21玉、11歩成、同玉、13香、21玉、12香成、同玉、
13桂成、11玉、22龍 まで35手詰

馬屋原剛もっと構想部分だけを取り出せなかったかとも思うが、そうすると味気ない作品になってしまう危惧もある。本作は、桂馬消去のタイミングの謎解きが絡み重厚な作品となった。 角を取る位置を玉方の意思でズラす点は、手前味噌ながら、拙作(2017.3たま研③)を思い出した。
會場健大-けっこう構図に制約の多い構想のはずで、うまくまとめたもの。主眼部より「98角よく限定にしたなぁ」とか「桂捨てのタイミング絶妙だなあ」とか思ってしまうのは褒められた態度ではないのかもしれないが、率直な感想。
太刀岡甫-後に桂合するための、争点ずらしの桂合。98角が限定打で入るのも良いし、攻方桂の消去のタイミングも絶妙である。凄い技術だと思う。
久保紀貴-87桂合はアンチ禁じられた遊び手筋とでも言うのでしょうか。ちょっと地味な感じもしますが、序の振り付けが素晴らしく、メインの弱さを補っています。 こちらも気になる初形をしていますが、調べてみると結構ギリギリの配置になっています。

<参考図>
詰パラ 20173月号 
たま研3 馬屋原剛氏作



57、同銀成、54歩、63玉、67香、同成銀、53歩成、同玉、
56香、同桂、43角成、同玉、64桂、87龍、93飛成、53歩合、
35桂、33玉、53龍、24玉、23龍、15玉、16歩、同玉、
27龍、15玉、16歩、14玉、23龍 まで29手詰

13手目64桂に対し、①87龍と取ると龍の利きは7段目に、②76香合、同馬、同龍なら、龍の利きは6段目に残る。どちらの段に龍の利きを残すかの選択権は玉方にあり、玉を1筋に追った時、龍の利きが6段目、7段目のどちらかに残っていれば、僅かに逃れる仕組み。
3度の香限定打によって、67段目ともに龍の横利きを遮断するという高度なテーマを、鮮やかに図化した力作です。

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2019年12月16日 (月)

No.211 春霞賞候補作紹介 2019年8月号

詰パラ 20198月号  春霞賞候補作紹介

■高等学校7 山路大輔氏作
◇銀成強制(局面対比)


28桂、同銀生19香、同銀成18香、同成銀28桂、同成銀
27角、同成銀17香、同成銀26金 まで13手詰

會場健大-一手一手駒を進めていくと、ひとつひとつの捨駒は単純なロジックの積み重ねであることがわかる。それが初形と終形の対比、銀だけが動く手順、というモチーフによってひとつの流れに束ねられているところに作者の顔が見えるのであって、詰将棋表現というのはこういうものだというお手本であろう。
太刀岡甫-持駒を6枚捨てて銀を成らす。その間他の駒は一切動かない。収束もたったの1手。夢のような手順で、思いついても図化するのは非常に難しいと思う。それをこの枚数でさらりとやってのけるのは流石である。
久保紀貴-水谷作が強く印象に残っていたので、28桂~19香~18香までは見えたのですが、そこから曲げてくるとは驚きました。この枚数で実現可能なのですね……。 作者の絶好調振りを示す傑作です。
馬屋原剛-なんとまあムシのいい手順をムシのいい配置で実現していること。ムシが良すぎて今まで誰も挑戦しようとすら思わなかったのだろうか。並の作家であれば、仮にこの仮想手順を思いついたとしても、実現できるわけはないと諦めてしまうだろう。理想の追求を恐れない姿勢に感服。

<参考図>
詰パラ 20146月号 水谷創氏作


78桂、同銀生69香、同銀成68香、同成銀67香、同成銀
55銀、同と、56金、同と、77銀、同と、65龍 まで15手詰

久保紀貴(発表時短評)―桂捨てから香3連打。香3連打だけでもテーマになりうるのに、それで銀が成って戻ってくるのだから文句のつけようがない。


■大学6 船江恒平氏作
◇態度打診の捨駒


75銀、同玉、73飛生、65玉、77桂、同角生、66歩、同角生、
54龍、同玉、63銀、44玉、33銀生、同玉、52銀生、53歩合、
同飛生、32玉、33歩、同角、41銀生、21玉、22歩成、同角、
13桂、同角、23飛生、22角、33桂、11玉、12歩、同玉、
13馬、同角、21飛成 まで35手詰

久保紀貴-打診を伏線で実現すること自体珍しいと思いますが、さらに舞台装置を跡形もなく消し去っているのが美しい仕上げです。 攻方の打診をテーマとする場合、その意味づけとなる構図(Aは成で逃れ、Bは生で逃れる構図)をとるのが大変だと思っているのですが、本作の構図は極めて巧妙にできていて、作家としてはそこに一番感心させられました。
馬屋原剛-まずは、成生打診を必要とさせる右上の構図に感心。ここから逆算で左下まで引っ張っていったと思うが、77桂〜66歩がまた絶品。本筋とは関係ないとはいえ、飛生や歩中合も入り、極めて完成度が高い。
會場健大-潜伏期間の長い伏線ものなのだが、個人的には駒がさばけるのが楽しい。この収束がもっていた物語を存分に引き出したと思えるからで、代償としての駒取りはここではあまり気にならない。
太刀岡甫-攻方による打診。打診に角位置が影響しないよう舞台を移動させるが、それにより打診が伏線的になっている。飛生や歩合が入る点、左辺が綺麗に捌ける点など、圧倒的な完成度である。
久保紀貴-船江作、舞台を動かしているというのはその通りで、唯一ともいえるこの構図の欠点。 本来右上だけで手順を構成できれば最高なのだが、元々の構図で角を2枚使い切っている関係上、右上に働きかける駒(打診できる駒)がない。そのため舞台を動かす必要が生じている。 とはいえそれを全ての舞台装置を消して実現したのは凄いというほかない。


■短期大学10 藤井規之氏作
◇最遠打×2回


39
34飛合、同香、同金、24桂、同金、39飛、同馬、
33飛、21玉、22歩、同玉、39飛成、21玉、11馬、同玉、
31龍、21銀、44角、12玉、21龍、同玉、22銀、32玉、
33角成 まで25手詰

馬屋原剛-この遠打を繰り返してしまうとは。繰り返そうという発想はどこから浮かんできたのか非常に気になる。仮に発想が浮かんでも具現化するのは難しいはずで、綺麗にまとめあげた手腕は確かなもの。24桂が焦点の捨て駒である点もよい。
會場健大-浦壁手筋のアレンジだが、合駒を入れて駒台の情報にも意味を持たせることで同じ位置に2度打てるという発見。構図にも無理がなく簡潔に実現している。
太刀岡甫-既存の筋も繰り返せば構想になる。言うのは簡単だが、この遠打が繰り返せるのは大発見。局面の戻し方も好手の捨駒で、構想の途中に余計な手が入らないのも良い。
久保紀貴-39香は小林敏樹作が有名ですが、それを繰り返すなんて考えたこともありませんでした。繰り返す意味(飛の品切れ)やスイッチとなる24桂捨てなど、全体として非常に精緻に作られていると思います。 小林敏樹作は今更言うまでもなく名作ですが、本作も併せて覚えておきたいですね。

<参考図 1>
近代将棋 1964年9月号 北原義治氏作


51角、同金、15角、14玉、51角成、17桂成、15金 まで7手詰

<参考図 2
詰パラ 19778月号 浦壁和彦氏作


93
、同銀、23飛、34玉、93飛成、12香、23銀 まで7手詰

<参考図 3
詰パラ 19857月号 小林敏樹氏作


39香、同馬、33飛、22玉、13飛成、同玉 まで7手詰


※「この詰2010」をお持ちの方は、ぜひ風みどり氏の論考「超短編における中合対策の研究」(同書P138~)を合わせてお読みください。

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2019年12月15日 (日)

No.210 春霞賞候補作紹介 2019年7月号

詰パラ20197月号 春霞賞候補作紹介

■短期大学5 太刀岡甫氏作   
◇不成による1歩稼ぎ


24角、同玉、15銀、13玉、53飛生33歩合、同飛生22玉、
32飛成、13玉、4333歩合、同龍、23歩合、24龍、同歩、
14歩、22玉、32香成、同金、同香成、同玉、43歩成、21玉、
22歩、同玉、23歩、同玉、33金 まで29手詰

太刀岡甫(作者)-攻方にとって飛生のほうが得なので、玉方は1歩と引き換えに成を強制する。33/龍の局面が共に作意に出現するため、明確な対比になっていると思う。歩を使い切る収束が同じ舞台で簡潔にできた点も気に入っている。
久保紀貴-飛生で1歩稼ぐというよりは、飛生に33歩合~ソッポ龍に33歩合のリフレインが気に入りました。 似たような展開は過去に一度考えたことがあるのですが、うまく纏められませんでした。少ない枚数で収束まで破たんなく纏めた作者の手腕に拍手です。
馬屋原剛-正直最初は地味な印象を受けたが、冷静に見るとなかなか面白いことをやっている。うまく受ければ歩一枚で事足りそうなのに、歩二枚ないと凌げないのは不思議な感触。 ところで、角でも同様の手順ができるか気になった。興味のある向きは試してみて欲しい。
會場健大-核となる部分は典型的な打歩の不成ものなのだが、それを機能的な配置で趣向風の手順に昇華させたところにセンスが光る。

■ノミネート7作の中、ぶっちぎりの独走で首位通過はお見事。


※今回からスタッフに會場健大さんが加わってくださいました。
この4人って、何気に物凄く贅沢なメンバーですよね。
春霞賞の未来は明るい!

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2019年10月20日 (日)

No.207 春霞賞候補作紹介 2019年6月号

■続いて6月号の候補作。5月に続き2作が候補に残りました。

■同人室3 金子清志氏作       
◇馬ソッポブルータス


25飛、36玉、26飛、同玉、48馬、35玉、26馬、同玉、
27馬、35玉、3924玉、33銀生、23玉、38馬29と、
24歩、34玉、56馬 まで19手詰

久保紀貴-39馬を消去せず38香~36馬としても打歩詰を解消できるところ、馬を捨ててまで39香~38馬と遠ざかるのが絶妙。近すぎると両王手したときに馬を取られるということなのだが、このように玉と馬の位置関係にフォーカスした作品はかなり希少である。 さらに本作ではそのための遠打、そのための馬消去という表現により、構想が重層化されている。
太刀岡甫-打歩を打開しつつ最終手を見据えた最遠打だが、全く無理なく39馬の邪魔駒消去が入っているのが凄い。駒の位置関係が絶妙である。
馬屋原剛-打歩詰を打開するだけなら、馬より香が後ろにいればよいだけだが、収束を成立させるには、39香、38馬型が絶対。36馬型だと近過ぎて詰まないのが面白いと思った。 39馬の原形消去や39香の限定打を無理なく実現している。絶品。


■同人室5 鈴川優希氏作     
◇飛車2枚捨てによる玉方銀成強要


65銀上、47玉、77飛、同銀成、56銀、同玉、76飛、同成銀、
65銀、47玉、56銀、同玉、74馬、45玉、44馬、同玉、
45香、同玉、35金、55玉、65馬 まで21手詰

太刀岡甫-やっていることは成らせだが、飛2枚を投じて釣り合う図があるのが驚きである。離し打ちでやっているのも良く、銀に当てるシンプルな意味付けで成立している。心理的妙手でもあり、印象に残りやすい作。
馬屋原剛-詰工房で見せてもらったときには全く解けず、答えを見たときには度肝を抜かれた作品。 銀を成らせるのに飛2枚が釣り合うとは驚いた。 34筋の守備駒が重いがまあ仕方ないだろう。 古典はあまり興味がないのだが、構想のヒントになることもあるのだなと感心。
久保紀貴-ぶつけて打つ飛限定打によって銀を成らせるというのは言われてみればシンプルでなるほどなのだが、なかなかその発想には至らない。非凡なアイデアと思う。 また、個人的には飛金(成銀)銀それぞれの駒の特性がピッタリはまっている点が気に入った。 配置はやや不満あり。

<参考図>
 将棋無双第51番 伊藤宗看作


75銀、同玉、64銀、86玉、26、同銀、75銀、同玉、
25、同馬、76金、74玉、65金、63玉、54金、52玉、
43金、51玉、52金、同玉、43馬、41玉、33桂、31玉、
21馬、42玉、43歩成、51玉、41桂成、同玉、32馬、51玉、
42と まで33手詰

■6月号は同人室の課題が構想作だったことも手伝って、やはりノミネート作が多かったのですが、5月号同様2作がダントツに強く、共に候補に残りました。
特に印象的だったのは、2ヶ月連続で候補入りした鈴川氏の復活振りです。これで今年の春霞賞の行方は、ますます混沌としてきました。

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No.206 春霞賞候補作紹介 2019年5月号 

■春霞賞候補に残った作品の紹介です。
まずは5月号出題作から。

■高等学校21 久保紀貴氏作 「モーメンと」
◇玉方と金の6地点1回転


45銀、同と、46桂、同と、36香、同と、26桂、同と、
25銀、同と、35香、同と、43馬 まで13手詰

太刀岡甫-4地点の回転ならよく見るが、6地点で連続して回したのがまず凄い。また、初手以外の捨駒を駒打ちで行うことにより局面の対比(銀消去)が明確になっている。回転方向の制御が非常にシンプルな仕組みで実現されており、手順完全限定で完璧な仕上がり。
馬屋原剛-ノンストップでと金が6回も動いて1周する。しかも駒取りなしときた。こういう作品は得てして短絡する紛れに苦労するのだが、それを感じさせないほどスマートに出来ている。 最優秀賞候補の一角。
久保紀貴-半期賞の言葉でも書いたが「と金が回転する前後で局面を対比すると攻方銀が消えている(だけ)」という点は特に気に入っている。 また他についても駒取りなし、手順完全限定、最短表現など、全体として自分の美学を貫けたので満足。

<参考図> 
詰パラ20136月号 宮原 航氏作 「独楽鼠」
◇玉方飛車の6地点1回転


35金、同飛、36桂、同飛、26香、同飛、16桂、同飛、
15角、同飛、25歩、同飛、33馬 まで13手詰


■大学14 鈴川優希氏作  「泣斬馬謖」
◇玉方馬先馬角


69銀、58桂成、同香、55馬、44龍、同玉、56桂、53玉、
65桂、同馬、64桂、56馬、同香、55角生35角、44桂、
55香、同桂、44角、43玉、65角、54飛、35桂、32玉、
54角、41玉、32角成、同玉、33角成、同玉、34飛、同玉、
24と、35玉、25と まで35手詰

馬屋原剛-複雑ですぐには構想が理解できなかったが、作者のブログを読んで、玉方馬先馬角が狙いとわかった。 私的には、構想よりも感じのよい序や大駒3枚捨ての収束といった、全体の完成度の方に感心した。
久保紀貴-玉方応用の馬先馬角というのはパッと作例を思いつけないため、単品でも表現として新しいものかもしれない。しかし本作はそれだけでなく、同じ手順の流れの中に取歩駒を逃げるための馬移動中合を加えており(ここは構想としては掛け算ではなく足し算になっているが)、より面白い表現が追及されていると思う。
太刀岡甫-馬先馬角というマニアックな構想。角と馬を対称に配し、移動捨合で馬を消し、合駒を出しつつ角2枚を捨て切る収束まで、徹底的に見せ方を追求している。


■詰棋校の期末月とあって、5月号は構想作も好作揃い。その中で久保氏作と鈴川氏の2作は、他のノミネート作を大きく引き離して候補に残りました。
なお久保氏「モーメンと」は、周知の通り見事半期賞を受賞されました。おめでとうございます。

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2019年9月16日 (月)

No.204 春霞賞候補作紹介 2019年4月号

■春霞賞候補作の紹介、続いては2019年4月号分。この月は大激戦で、3作が全くの同点で並びました。

詰パラ2019年4月号 大学10 若島正氏作
◇同じ箇所での「金先金歩+銀先銀歩」玉方応用


97香、96歩合、85金、同玉、82龍、84金合同銀成、同桂、
76金打、同銀、35龍、65銀打合、同龍、同銀、86銀、94玉、
96香、同桂、95銀、同玉、62角成、同馬、86金、94玉、
95歩、同馬、同金、同玉、73角、94玉、84角成 まで31手詰

久保紀貴-金銀両方の不利合を、玉方銀の位置の違いだけによって切り分け、実現した作品。作ったことがある人であれば金と銀の切り分け方自体はよく知るところでしょうが、両方取り入れて作品にしてしまうアイデアは非凡と思います。97香限定打の序も流石。
馬屋原剛-ikironさんのコメントと被るが、同じ舞台で、銀の位置の違いだけで金、銀、の不利合を切り分けてる点に脱帽。発想も構成力もずば抜けている。
太刀岡甫-不利合もそこまで珍しくなくなった昨今だが、同じ打歩を巡って別の不利合が出るというのが驚きである。2つの合駒の間隔が狭いのが良い。変化伏線の限定打も盛り込み、収束も捌けるため完成度が非常に高い。


詰パラ2019年4月号 大学院7 太刀岡甫氏作 「ストライクショット」
◇「遠打+馬鋸+角筋遮断の飛車移動」のブルータス手筋


91と、同玉、81歩成、92玉、91と、82玉、81成香、72玉、
71成銀、62玉、61成香、52玉、42と上、同金、同と、同玉、
41金、52玉、51成香、62玉、61成銀、72玉、71成香、82玉、
83歩、同成香、93歩成、同成香、81成香、72玉、71成銀、62玉、
61成香、52玉、51金、42玉、41成香、32玉、33歩、43玉、
91と、同玉、81歩成、92玉、91と、82玉、81成香、72玉、
71成銀、62玉、61成香、52玉、42と上、同金、同と、同玉、
41金、52玉、51成香、62玉、61成銀、72玉、71成香、82玉、
83歩、同成香、93歩成、同成香、81成香、72玉、71成銀、62玉、
61成香、52玉、51金、42玉、41成香、32玉、33歩、43玉、
65馬、33玉、55馬、24玉、15と、同玉、27桂、14玉、
18飛23玉、35桂、32玉、65馬、33玉、66馬、32玉、
76馬、33玉、77馬、32玉、87馬、33玉、88馬、32玉、
98馬、33玉、99馬32玉、31成香、42玉、41金、52玉、
51成香、62玉、61成銀、72玉、71成香、82玉、88飛87歩合、
81成香、72玉、71成銀、62玉、61成香、52玉、51金、42玉、
41成香、32玉、33歩、同玉、87飛、77金合、同馬、24玉、
25歩、14玉、24金、15玉、59馬、同成銀、17飛、16歩合、
同飛、同玉、17歩、15玉、16銀、26玉、27銀右、15玉、
16歩 まで113手詰

太刀岡甫-ブルータス手筋を馬鋸で行うだけでなく、後に馬筋を遮断する意味づけの限定打が新しい。
久保紀貴-18飛限定打~馬鋸で99馬~88飛の複合技で馬筋を閉じ、打歩詰を打開。ブルータスの前に飛を限定打するのが新しいところです。 ただ席上では限定打の演出について「27桂のせいで自然な手に見える」という意見がありました。
馬屋原剛-駒場作があるのでそれ程評価していなかったが、確かに限定打から始めたのはプラス。

<参考図> 風ぐるま19559月号 駒場和男氏作 「望郷」
◇「遠打+馬鋸で飛車筋遮断」のブルータス手筋


33金寄、同歩、2931玉、32歩、同玉、44桂、31玉、
42と、同玉、51飛成、同玉、62歩成、同玉、52角成、71玉、
81香成、同玉、63馬、91玉、64馬、81玉、54馬、91玉、
55馬、81玉、45馬、91玉、46馬、81玉、36馬、91玉、
37馬、81玉、27馬、91玉、2881玉、73桂、71玉、
72歩、62玉、63歩、同玉、64銀、62玉、63歩、51玉、
61桂成、同玉、71歩成、同玉、77香、同と、62歩成、同玉、
73銀生、51玉、52歩、42玉、43歩、31玉、32歩、22玉、
64馬、24桂、同飛、同金、31馬、12玉、13馬、同玉、
14歩、同金、同香、同玉、24金打、15玉、27桂まで79手詰


詰パラ2019年4月号 大学院8 馬屋原剛氏作
◇逆回転による微分


『41飛成、23玉、21龍、22飛合、同龍、同玉』=A手順とする 
『21龍、22飛合、同龍、同玉、21飛、32玉』=B手順とする

『A』55馬、44と寄、21飛、32玉、41飛成、23玉、
56馬34と上、B65馬、43と、
A66馬44と寄、21飛、32玉、41飛成、23玉、
67馬34と上、B76馬、43と、
A77馬44と寄、21飛、32玉、41飛成、23玉、
78馬34と上、B87馬、43と、
A88馬44と寄、21飛、32玉、41飛成、23玉、
78馬34と上、B87馬、43と、
A77馬44と寄、21飛、32玉、41飛成、23玉、
67馬34と上、B76馬、43と、
A66馬44と寄、21飛、32玉、41飛成、23玉、
56馬34と上、B65馬、43と、
A55馬44と寄、12飛、31玉、41香成、同玉、
33桂生、同と、51桂成、同玉、42銀、62玉、73と、61玉、
62歩、同金、同と、同玉、51銀生、同玉、42金、62玉、
52金、63玉、62金、74玉、66桂、84玉、94馬、同玉、
85金打、93玉、94歩、92玉、91馬、同玉、82銀、同玉、
72金、92玉、82金 まで179手詰

作者(結果稿解説より)-1手馬鋸や1/2手剥がしなど、いわゆる“微分系”の趣向は「同様」なサイクルを複数回経て鍵が一つ進む。「同様」と表現したのは全く同じではなく、サイクル毎に持駒や置き駒の位置が微妙に異なるからだ。では、全く同じサイクルで微分系の趣向を表現できるだろうか。
一見論理的に無理に思えるが、論より証拠で本作を見て欲しい。確かに全く同様のサイクルを2回繰り返すことで、馬が左下(右上)に一歩動いている。
種明かしをすると、馬と玉の回転方向が逆であるのが肝なのだ。128911992198のラインをそれぞれabcと呼ぼう。すると、玉はabcaの順に移動しているのに対し、馬はacbaの順でしか動けない。従って、馬はaで王手した後にすぐにbで王手したいのだが、間にcの王手を挟まなくてはならない。そのため、1サイクル目ではbの王手ができず、次のサイクルまで待たなくてはならないのだ。趣向の外見に目新しさはないが、コロンブスの卵的な位置づけの作品だと思う。
馬屋原剛-詰工房の席上では参考図2つを交えて説明したがどれだけ伝わったかは微妙。伝統ルールでできるかどうかはさておき、馬ノコ以外で表現できれば、もっと違う印象を与えることができるかも。
太刀岡甫-三段馬鋸。玉方はと金を回すことにより1サイクル分の手数を稼いでいるが、斜め後ろに動けない特性により中央ラインが開くと馬が進むことができる。馬鋸についての深い研究が垣間見られる作。
久保紀貴-玉の軌跡と馬の軌跡(より厳密には、と金スリットの位置の軌跡)の回転方向の違いによって1手馬鋸を実現した作品。説明されないとわかりにくいのが難点ですが、面白いアイデアと思いました。 ただ、合駒制限が必須かは疑問です。

<参考図> 書きかけのブログ 馬屋原剛氏作
◇順回転の32手馬鋸


21飛、32玉、23飛成、41玉、63角成、52と、
21龍、31飛合、同龍、同玉、6453と寄、
21飛、32玉、6543と上、23飛成、41玉、7452と、
21龍、31飛合、同龍、同玉、7553と寄、
21飛、32玉、7643と上、23飛成、41玉、8552と、
21龍、31飛合、同龍、同玉、8653と寄、
21飛、32玉、8743と上、23飛成、41玉、9652と、
21龍、31飛合、同龍、同玉、9753と寄、
21飛、32玉、8743と上、23飛成、41玉、9652と、
21龍、31飛合、同龍、同玉、8653と寄、
21飛、32玉、7643と上、23飛成、41玉、8552と、
21龍、31飛合、同龍、同玉、7553と寄、
21飛、32玉、6543と上、23飛成、41玉、7452と、
21龍、31飛合、同龍、同玉、64馬、53と寄、
21飛、32玉、44桂、43玉、41飛成、42飛合、同銀成、同と、
同龍、同玉、52飛、41玉、32飛成、51玉、52歩、62玉、
63歩、同と、51歩成、同玉、52桂成 まで117手詰

※4月号大学院の馬屋原氏作とほとんど同じ機構に見えるが、回転方向が同じなので、微分にならない例(3段2手馬鋸)。

<参考図> 詰パラ20171月号 添川公司氏作  「木曽路」


『34と、25玉、35と、26玉、36と、17玉、28馬、16玉、38馬、15玉、16歩、24玉、35と、23玉』=A手順とする
『33と、24玉、34と、25玉、35と、26玉、36と、17玉、28馬、16玉、38馬、15玉、16歩、24玉、35と、33玉』=B手順とする


16歩、26玉、36と、17玉、28馬、16玉、38馬、15玉、
25と、同玉、35と、15玉、16歩、26玉、36と、17玉、28馬、
16玉、38馬、15玉、16歩、24玉、35と、33玉、44と、24玉、
A5632玉、44と、33歩、6523玉、
B6644歩、同と、24玉、
A6732玉、44と、33歩、7623玉、
B77馬44歩、同と、24玉、
A7832玉、44と、33歩、8723玉、
B88馬44歩、同と、24玉、
A8932玉、44と、33歩、9823玉、
B88馬44歩、同と、24玉、
A7832玉、44と、33歩、8723玉、
B77馬44歩、同と、24玉、
A6732玉、44と、33歩、7623玉、
B66馬44歩、同と、24玉、
A5632玉、44と、33歩、6523玉、
B55馬、23玉、45馬、32玉、44と、33歩、43と、同玉、
52銀生、53玉、65桂、42玉、43歩、32玉、41銀生、31玉、
42歩成、同玉、53桂成、同玉、52成銀、43玉、44歩、同飛、
同馬、同玉、45歩、55玉、56飛、65玉、75金、同玉、
85金、64玉、53飛成、65玉、47馬、同香成、56龍、64玉、
76桂、63玉、53龍、72玉、73龍、同玉、84金、63玉、
64金、72玉、83銀成、81玉、82歩、同と、同成銀、同玉、
73金右、81玉、82歩、92玉、83金上、91玉、81歩成、同玉、
82金右 まで367手詰

1回転目と2回転目で、追い方が変わる31手馬ノコの例です。

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